2007年05月27日

続々々・フェイトルート by シヴァやん

 朝方のオープンテラスの喫茶店にて。

 管理局のエース、白の砲撃手こと白の悪魔、高町なのはが椅子に座ってボーっとしていた。

 しばらくそうして流れ行く人並みを眺めていたが、ふと何かに気づいて立ち上がった。


「フェイトちゃん、はやてちゃん!こっちこっち」


 その声に導かれるように金の髪と茶の髪が人の波から抜け出してきた。


「おはよう、なのは」


 彼女の義姉になりそうな親友にして戦友、フェイト・テスタロッサ・ハラウオンと、


「おはようさん、なのはちゃん」


 その座を虎視眈々と狙う親友にして戦友して何時の間にやら階級が抜かれた上司、八神はやてであった。








「いや〜こうして三人揃うのも久しぶりやねぇ」
「久しぶりって。最後に集まってからまだ二週間だよ?」
「もう、二週間や。私ら現役の高校生で、しかも同じ学校で、さらに同じ職場やで?二週も会わなかったんなら、久しぶりで合ってるやろ?」
「確かに」
「あ、あはははは」


 力説するはやてにフェイトが頷きなのはが乾いた笑いをあげる。


「って言っても、今はGWなんだけどね」
「まあ、そうなんやけどね。なのはちゃんは兎も角、フェイトちゃんは恭也さんとデートだったし」
「デートじゃなくて鍛錬なんだけど」
「似たようなもんやろ?山の上で二人っきりで五日間。誰にも邪魔をされずにいちゃいちゃと」
「いちゃいちゃって……。だから鍛錬を」


 頬を染めて若干俯くフェイトに向けて、なのはが微笑ましそうに爆弾投入。


「フェイトちゃん。首筋のキスマーク消えてないよ」
「え!?」


 慌てて押さえて、


「うそ。でも、心当たりはあるみたいだねぇ」
「…………うぅ」


 意地悪い顔でにまにま笑うなのはに向けて、恨めしそうに怨念を送る。しかしそこは他称悪魔、怨念程度はキニシナイ。
 そしてはやての追撃。


「ほうほう。って首筋にキスマークって誤解のしようも無いやないか!」
「あぅ」


 真っ赤になって小さくなるフェイト・テスタロッサ・ハラウオン(十六歳)と、
 思わず立ち上がり大声を出した八神はやて(十六歳)と、
 その様子を花の咲くような満面の笑顔で見ている高町なのは(十六歳)の三人は、

 色々な意味で注目の的であった。








 そして少し後。

 三人は痛くなってきた周囲の視線から離れて街を歩いていた。
 フェイトに対する追及の手は一先ず収められたらしい。次は恭也も一緒に追求する所存らしい。
 まあ、その場合は煙に巻かれていつの間にか漫談が始まりそうな気がするが。


「そういえばお兄ちゃんと山でどんなことをしてたの?」


 会話の途中でなのはがふと思いついて聞いてみる。


「えっと、今回は恭也さんの慣らしがメインだったよ。あの怪我の後、どうも体の動かし方に違和感があったんだって」
「ああ、なんかスパイクフォースの隊長さんが、少し動きがぎこちないって言ってたなぁ」
「うん。後は私の特訓かな。やったのは」
「?特訓って?」


 初耳だったなのはが不思議そうに聞き返す。
 はやても聞き覚えが無いらしく、怪訝そうな顔で見つめていた。


「あ、言ってなかったっけ?結構前から恭也さんに訓練中に無手での接近戦習ってたんだ」
「無手での接近戦……って格闘技?」
「ちょっと違うけど、似たようなものだよ。デバイスが無くても少しは戦えるようにならないと、と思って」
「へぇ」


 ちなみに、フェイトはこの頃ジーンズを愛用している。
 理由として猿落としの練習、差し入れに来たクロノ、で何があったかは分かってくれると思う。この時クロノは丹念に入念に容赦なく、記憶が無くなるまでフルボッコにされた。ハーケンフォームで記憶を斬滅された。全治一週間だった。
 そして次の日に「クロノなんて大っ嫌い!」が炸裂し、精神損壊でさらに一週間入院した。それから彼は一週間妙にハイで、素敵に無敵に空元気状態だったらしい。しかし、一週間目に見舞いに行ったエイミィとナニかがあったらしく、次の日には正常に持ち直した。それ以来二人仲良く歩いている姿が多数目撃されているので結果オーライ。
 恭也が贈った物というのも愛用する主な理由ではあるが。

 で、


「こんなの」


 そう言った瞬間、目にも止まらぬ動きでなのはの横にいた男の腕を捻り上げ「うお!?」、地面に押し付けざま延髄のところを踏みつけた「うぎゃ!!」。


「って、フェイトちゃん!?」
「ちょ、何しとるん!?」
「落ち着いて二人とも。はいこれ」


 捻り上げられた男の手にはピンクで花柄の財布が一個。


「あ、これって私のお財布!」
「ってことはこの人ってスリなん?」
「うん。はい」


 フェイトは男の手から財布をもぎ取りなのはに渡し、男を解放した。


「さ、行こう」
「え、いいの?」
「うん。こういうのは顔を晒しておけば十分だって」
「「晒してって……」」


 それを聞いてなのはとはやてが周りを見回せば遠巻きにギャラリーができていて、男を指差してひそひそ話していた。
 ちなみに、こういうことで当事者であるなのはたちに注目がいかないのは、前例として高町さんちの美由紀ちゃんや神咲さんちの薫ちゃんなどが大量にいたため、慣れたからである。

 この人数に目撃されればこの近辺は歩けなくなるので、確かに罰は受けたことになる。
 二人ともがそれでいいのかと疑問に思ったが、こういうのに慣れているであろう不破恭也がそれで良いと言っていたなら、まあ良いかと納得した。


「と言うわけで、もう行っていいよ」


 倒れた男を無視して、三人はそのまま立ち去――




「ふざっけんなー!」


 逆切れしてグーで殴りかかってくるドたわけ者をフェイトは後ろも見ずに裏拳一発。

 側頭部に確かにぶち当たったその一撃は、男の頭をミリとて揺らすことは無く、瞬時に男の意識を刈り取った。


 数瞬。


 男はドサリと倒れた。
 呻き声も上げずに倒れた。
 垂直に倒れた。
 危険な倒れ方だった。


「ちょ、フェイトちゃん。一体何やったの?」
「徹してみた。前々から習っていて、最近やっと成功するようになったんだ。成功率は一割に届かないけど」


 嬉しそうに、誇らしげに語るその姿は、確かに不破恭也の恋人にふさわしかった。
 そして素敵なことに、さっきの一連のやり取りが挑発であると言う意識は彼女には皆無であった。




 そして三人は男にはそれ以上男には意識を向けずにその場を去った。
 いよいよもって痛くなってきた視線から逃げたとも言う。



 この三分後。

 男は結局連れて来られた警察官に逮捕されたのだった。








 その夜。


「ただいま」


 家に帰ったフェイトを迎えたのは、


「おかえり」


 八景と不破の手入れをしている恭也であった。
 あとついでのように報告書が机の上においてある。


「あ、帰ってたんだ」
「今日は帰還報告以外特に用事も無かったからな」
「そうなんだ。あ、それから今日スリに会ったよ」
「ほう。で?」
「言われたとおりに晒しておいた」
「うむ、それでいい」


 頷く恭也は若干嬉しそうだ。恋人のバイオレンスを喜ぶ彼はやはり普通と若干違う。
 フェイトは荷物を置くと不破の排莢口から内部の掃除をしている恭也と背中合わせに座った。
 そのまましばし無言。恭也が立てる清掃音のむが部屋に響いている。

 そしてフェイトはおもむろに顔を上げ、恭也にもたれかかった。


「……どうかしたのか?」
「いえ。ただ、今が幸せだなぁ、と」
「……そうだな」


 掃除の手を止め首だけを振り向かせる。その状態で視線を下げると、逆様になったフェイトと視線が合う。
 にっこりと笑う彼女に向けて、彼もまた微笑みかけた。
 そうやってしばし見つめ合い、しかしやがて互いに視線をはずし、フェイトはもとの体勢に、恭也もまた不破の掃除に戻った。



 そのまましばし。

 ガチン、と言う音を立てて不破を元の状態に戻し、


「終わった。さて、起きろ、不破」


 一声。


『[SIiiiiMPLE IS BEeeeST!]。おはようございます。私はこのストレージデバイス不破の管理AIです。操作説明を行いますか?』
「ボケはいい。簡単な整備をしてみたんだが、どこかに不具合はないか?」
『少し待て。自己診断開始する………完了。特に無いな』
「そうか」
「久しぶりだね、不破」
『ああ。久しぶりだな、フェイト』


 不破に向けて声をかけるフェイトと、それに答える不破。


「そう言えば、不破のこと何時まで黙ってるの?はやてとかに」
「できれば永遠に。必要ではないからな」
『できたら永久に。必要性が皆無だから』


 もう何度目になるか分からない質問に、同じ答えを異口同音に答える二人に、フェイトは苦笑した。
 まあ、この二人らしいと言えばこの二人らしい。はやてには悪いが、もうしばらくこの三人で秘密を共有しよう。

 いくつかの確認事項を全てパスし、不破の手入れは終わった。八景のほうは既に終わっている。
 不破を仮死状態にして、八景共々鞘に納める。そして壁際のラックに置いて完了。

 次に机の上の書類に目を通しサインやら記入事項やらを手早く書き込む。その作業に遅滞は無い。
 この頃は書類仕事もきちんとやって実績も上げているので、階級も順調に上がっている。まあ、指揮官には向かないとはっきりしているので、地位は実働部隊の斬り込み隊長のどまりである。
 何で階級を上げているかと言えばはっきり言えば見得である。曰く、「年下の恋人に養われるなぞできるか!!」とのこと。

 書類を十分ほどで片付け、伸びを一つ。


「さて。今日は外に食べに行くか?」
「賛成。近くに美味しいパスタのお店ができたってなのはが言ってたよ」
「そうか。ならそこに行こうか」


 そう言って恭也が立ち上がり、フェイトは差し出された右手に掴まって立ち上がる。
 そして、嬉しそうに腕を組んで、二人揃って家を出た。



 外はもう暗くなっていて、星が良く見えた。


 ああ、今日は月と星がきれいに見える。
 願わくば、この幸せが永遠に続きますように。







 あとがき

 と言うわけでやっとこ完成です。
 ナチュラルに二人は同棲してます

 取り敢えずネタが切れたので暫定最終話です。
 また思いついたら書くかもしれませんが。
posted by TRASH BOX at 23:04| Comment(11) | TrackBack(2) | 三次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
恭也の昇進の理由笑えました
でも、確かに気持ちは分かる…

それにしても、フェイトの恭也化が進行してますね
このまま行けば管理局でも有名な武闘派夫婦になれることでしょう…
夫婦になるのを阻止すべくはやてが動いているようですが、紫の人の意図せぬ妨害もあり上手くいかないことでしょう、きっと
Posted by ces at 2007年05月27日 23:37
猿落しですか・・・暇潰のネタですねw
それとも、他に元ネタあるんですかね?
てか、そっちに目が行っちゃうんだよなぁ・・・気付くなよ、自分w
Posted by 通りすがりのYの人 at 2007年05月28日 03:16
猿落しはとらハ3で闇討ちしてきた晶に対して使ったのが元ネタだったかと
まあどっちの世界でも”さる”扱いされた人に対して使われてるのがミソですな
Posted by 黒子壱号 at 2007年05月28日 07:19
タイトルが続々々・フェイトルートとなっていまが、
それ以前の話ってあるのでしょうか?
あるのであれば読んでみたいのですが。
二人が付き合うようになった経緯とかが気になります。
Posted by たーんあっぷ at 2007年05月28日 08:49
フェイトが恭也二号になってる…
でもこれはこれでイイw
恋人の為に階級上げる恭也…やっぱり
特定の人が出来たら頑張るしかないよなぁw
Posted by kagura at 2007年05月28日 09:36
背中を預けられる夫婦……素敵じゃないですか!
フェイトさーん、スカートで猿落としは危険ですよー

ところでハラウオンではなくハラオウンでは? 二箇所ともそうなっていたので指摘なんかしたりしてみます
あとフェイトルートは過去のコメント欄を漁れば見つかるかと

しかし恭也とフェイトの恋人同士の営みに聞き耳をたてている不破を想像すると……どきどきがとまりませんね?

Posted by SMP@ at 2007年05月28日 16:41
>Yの人
私も真っ先にそう思った。

それにしても、このフェイトはかなりイイな。
Posted by しゃどうむーんれいんぼー at 2007年05月28日 18:25
誤字発見。気づけよ俺orz
しかし予想外に高評価でうれしい限り


>cesさん
昇進理由は今回書きたかったことの一つです。
フェイトの恭也化はあれですね。俺色に染めるってやつです

>通りすがりのYの人さん
あれは原作唯一の奥義でない名前の付いた技だったはずです。確か

>黒子壱号さん
さる……スバルかなぁ?髪の色的に

>たーんあっぷさん
今回の拍手返信に出てますね
でも、詳しい経緯は書かれてませんのであしからず
生まれてこの方独り身ですので告白なんて書けませぬ

>kaguraさん
フェイトはざかざか染められているわけですよ
>特定の人が出来たら頑張るしかないよなぁ
まああの性格ですし、養われる側には死んでも回らないでしょう

>SMP@さん
恭也的に一番理想なんじゃないかと
まあ、猿落としはスカートで出すほうも出すほうなら、出させるほうも出させるほうですね
>ハラオウン
HAHAHAHAHA………(虚ろな笑い)
今までずっとハラウオンだと思ってた。気付けよ俺ぇーー!!!!
ちなみに不破は営み中は仮死状態になってます。そこに隙はないですよ
しかしきちんと録画機能が働いていて起動中に楽しんでます。あ、不破AIはリインTですのであしからず
なのでリインUに時々見せてたり

>しゃどうむーんれいんぼーさん
気に入っていただけてよかったです
Posted by シヴァやん at 2007年05月28日 21:09
>あれは原作唯一の奥義でない名前の付いた技
組技で良いなら
枝葉落とし(刃のついてない武器Ver,は萌木割り)
と掛弾き(がびき)があったような・・・・
Posted by J at 2007年05月28日 22:40
ウィキLIVEDOORブランドコピー財布時計ファッションのブログ,歓迎を。 スーパーコピー腕時計 http://jp-sakura.webnode.jp/
Posted by スーパーコピー腕時計 at 2013年08月05日 15:31
http://jbbs.shitaraba.net/otaku/9513/

アーカイブ辿って、入れなくなってる三次創作まとめサイト先にあった掲示板のurl発掘してきました。
「大岩咲美」氏が投稿所に関してなんらアクションを起こしてくれないし、他の人とも連絡取れてない状況が続くよりかはマシかと思って貼り付けてます。
というか、「鏡の世界の迷子の旅路」とか作品が読めなくて困ってるので「小閑者」さんとか連絡欲しいですおすし。
Posted by 投稿所に入れなくて困ってる閲覧者 at 2014年03月29日 02:06
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Excerpt: 色々と命令されて人形みたいに扱われるバイトを発見した!ヤバい(笑)
Weblog: NYようすけ
Tracked: 2007-06-01 06:11

四日で50マン(笑)
Excerpt: オタクのドウテイキャラのフリして入ったら、やりまくりのもうけまくり(笑)
Weblog: 林田
Tracked: 2007-06-03 15:33
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