六課を設立してはや数ヶ月
未だかつてないほどの大事件が起きていた
「はやて嬢...先日のDランクのロストロギア不法所持の疑いあった組織への潜入任務の報告書だ
ロストロギアの存在を確認した
令状が降り次第制圧任務に移りたいと思う
――その際うまく連携できる仲間が欲しい
スパイクフォースのメンバーを何人か借り受けたい、打診しておいてくれ」
――――
「フェイト嬢、先ほどのエリオとキャロとの模擬戦の事なんだが....二人の伸ばすべき点、矯正すべき点を俺なりにまとめておいた。指導の参考にしてほしい」
―――――
「なのは、今日のスターズ分隊との合同任務なんだが...スバルとティアナの連携練度が上がってきている、思い切って例の新フォーメーションを使ってみよう。今回の作品にはそちらの方が効果的だ」
―――――
「あぁシグナム、明日の午前中空いていたな?模擬戦に付き合ってもらえないだろうか、いくつか試したい事がある....そうか助かる。では俺の方で第2訓練場を確保しておく、、よろしく頼む」
「誰や.....」
その事件とは
「あれはいったい誰なんやーーーーっ!!」
「落ち着いてくださいマイスター!!あれは本物のお爺さんですーー!!」
―――高町恭也がおかしい―――
「あれは絶対おかしいで!?」
六課課長室――通称はやての部屋――
集められたメンバーに部屋の主、八神はやてが吠えた
部屋に呼ばれたのは、六課上層の指揮官's(仲良しメンバー)
なのは、フェイト、シグナム、ヴィータの4人である
「報告しますー、先月のお爺さんの仕事量が先々月の1.7倍に増えました―」
はやての横に浮かび、なにかのファイルをリィンが読み上げる
「勤務態度も大きく改善され、意欲的な姿勢から監査の評価もグングン上がってます」
ペラペラとファイルをめくる
「加えて任務達成率も7%上昇、総合評価『優』が最終成績です」
パタンとファイルを閉じる―――ファイルの題名は高町恭也観察レポート―――
「ご苦労さんリィン――皆、これをどう見る?」
その問いに4人は
「お兄ちゃんお仕事頑張ってるね」賞賛するなのは
「うむ、最近の恭也の活躍にはめざましいものがあるな」しきりに感心するシグナム
「でも....ちょっと恭也さんらしくないなぁ....とか」苦笑いのフェイト
「あんなの黒助じゃねーっ!」完全否定のヴィータ
「反応はそれぞれとして....恭兄が劇的に変わったのは確かや」
もはや突然変異ともいえる変わりっぷり
その変化はリィンの報告通り、不良職員の代名詞でもあった恭也の更生の様子は六課に賛否両論の波紋を呼んだ
ちなみに原因として真っ先に疑われた某医務室勤務の金髪お姉さんは
「私じゃありませんー!!不破さんの目が光ってて、薬を盛ってもすぐ見つかっちゃうんですからっ!!」とコメントを残している
....薬を盛ろうとしていた事は事実らしい
「理由をでっち上げて精密検査も受けてもろたんやけどな....極めて健康、異常はこれといって見当たらなかったんよ」
そう話はやての顔は深刻そのもの
よほど恭也が真面目になった事に不安らしい
「お兄ちゃんが真面目になって、何か問題でもあるの?」
「恭也は六課に大きく貢献しています。歓迎こそすれ、疑うこともないと思うのですが」
なのはとシグナムの疑問ももっともだ
逆ならばともかく真面目に仕事をしているのに何がダメだというのか
「問題ちゅうか....なんであーなったのかわからんと不気味で仕方ないやん、恭兄に聞いてもはぐらかされるし.....」
それもそのはず
まさか「妹に相応しい男になる為に努力している」なんて口が裂けても言えないだろう
理由を知っているなのはは終始ご機嫌だが
「....シグナムは空気読めへんから仕方ないとして....なのはちゃん妙に落ち着いてへん?」
「そ、そうかな?」
「―――もしかして何か知ってるんとちゃう?」
年若くとも一部署の責任者
はやての意外な鋭さに内心ドキリとするも外に出さず誤魔化す
「な、何も知らないよ?」
「そういえば恭也さんがああなったのって..なのはの休暇のすぐ後からじゃない?」
(フェイトちゃんーーーー!?)
親友に無意識に追い込まれるなのは
「ますます怪しいなぁ....」
絶体絶命かと思いきや
「―――たたたた大変ですはやてちゃんっ!!」
天の助けは意外な所からやってきた
「どうしたん?シャマル、そんな慌てて」
息を切らせて飛び込んできたのは、外見だけなら天使に見えなくもない風の癒やし手シャマルさん
なのはに向けられていた追求の目は逸らされた
――かに見えたが
「これ見てくださいこれーー!!」
と一冊の雑誌を出す
「うん....?今日発売のCBGの今月号やん、あかんで?勤務中にこんなん読んでちゃ」
CBG―――クラナガン・バック・グラウンド
若者向けの地域密着型のファッション誌で、モデルやタレントではなく、道端でスカウトした一般人の服装を中心に紹介や批評をする形式が好評の雑誌だ
この雑誌に載るという事が若者の間で一種のステータスになっている
「そんな事よりこのページの一番上を見て下さい!!」「もーなんやのん?いった...い....」
目を落としたはやてが固まる
不思議に思って皆で覗き込むと....
『今月のグランプリ――今回のグランプリに輝いたのは駅前広場で撮影したこのカップル素材の良さもさることながら、片や白、片や黒という真逆のコーディネートが美しいコントラストを魅せ、周囲の視線を釘付けにしていたとの事
尚本来であればスカウトしての撮影となる所、「あの雰囲気は独り者には拷問だ、とてもじゃないが話しかける勇気はない」と本誌カメラマン(28歳独身)が語っていた為遠くからの撮影となっている』
その写真に写っていたのは、珍しくお洒落をした恭也と、とても兄が相手とは思えないほど気合い入れて着飾り、笑顔を向けるなのはの姿だった
―――救いの天使は爆弾抱えた小悪魔だった
皆が固まる中、なのははそろりそろりと、気付かれないように部屋の出口に向かうも.....
「―――ナノハチャン」
ビクッ!?
底冷えするような声で名前を呼ばれ一瞬硬直する、そして
ガシッ
「にゃっ!?」
その一瞬の硬直が命取り。ソニックフォームのフェイトがなのはを羽交い締めにした
「フェ、フェイトちゃんっ!?」
「なのは、隠し事はイケナイと思うの」
「何も隠してないよぉ!」
じたばたもがくも拘束は解けない
そこに
「なぁ、なのはちゃん....」
「っ!?」
再び聞こえる冷たい声
そこには騎士甲冑を纏い、禍々しいオーラを放出する、夜天の王が降臨していた
「はっ、はやてちゃん?」
3対の黒翼のなんと恐ろしい事か
―――皆は知っているだろうか、悪魔は位階が高くなるほど羽の数が多くなる事を―――
「うちらももう長い付き合いや....最初は色々あったけど、今ではもう心の友と書いて心友やと思っとる....」
ズシャッ、ズシャッ
異音を立てて歩いてくるはやて
――主のあまりの変貌ぶりにヴォルケンリッターとリィンは、部屋の隅で身を寄せ合って震えている
「はっ、はやてちゃん!?私たち、友達だよね?酷い事しないよね!?」
凄まじいプレッシャーに膝がガクガクと震えているなのは
はやては極上の笑顔を浮かべると....
「こんな名言知っとるか.....?『お前の物は俺の物、俺の物も俺の物』」
「ジャ○アンーーーー!?」
「さぁ....キリキリ吐いてもらおか....あっ、リィンカツ丼の出前とっといてなー?」
「はっ、はいですーっ!!」
ゆっくりと伸ばされる手になのはの恐怖心のメーターが振り切った
「にゃっ.....にゃぁ....!」
『にゃああああああっっっ!!!!』
六課全体になのはの断末魔が響き渡った
が、職員は黙々と何事もなかったかのように仕事を続けた
『命が惜しくば好奇心で関わるな』
六課で生きる上での暗黙のルールを破る者はいない
2.考察の末に
「まぁなのはちゃんの事は置いといて」
「うぅ....酷いよはやてちゃん....」
取り調べは一時間近く行われた
最初は頑なに喋ろうとしなかったなのはも、はやての尋問テクニック――くすぐったり息吹きかけたり甘噛みしたり揉んだり(どこを?とは聞いてはいけない)――には為す術もなく吐かされた
そのせいで息も絶え絶えに――若干甘い息ではあるが――ぐったりとしている
それでも海鳴であった出来事だけは死守したが
はやてもまさか兄妹の一線を飛び越えかけたとは思っておらず、そこまで追求しなかった
「結局なんで変わったかわからんかったけど....誰か他に心当たりないかー?」
「「「「うーん....」」」」
聞かれ考えても思い当たらない
そして....
「もしかしたら...」
「おっ、シグナム何か気づいたんか?」
何か思いついたのかシグナムが恐る恐る切りだした
「これはあくまでも推測ですが.....」
同じ剣士故か、恭也と似通った所が多いシグナムの考えだ
意外に当たるかもしれないと皆息をのむ
「案外身を固める決意でもしたのかもしれません」
『....!?』
あまりに鋭すぎるシグナムの読みになのはは背筋が震える思いだった
―――が体に力が入らない為にそれに皆は気付かなかった―――
「ま....まさか....」
「あの恭也さんが...?」
真っ先に否定するのはそれなりにアプローチしてきたはやてとフェイト
が...
「いえ....案外シグナムの考えが正しいのかもしれない」
シャマルが賛同した
「恭也さんももう三十過ぎ、そろそろ結婚を考えてもおかしくないわ。もしかしたら本当に大事な人が出来たのかもしれない」
「加えて、恭也は古風な考えを持つ男です。そして恭也の立場はけして有望とは言えない、その想い人に自分が釣り合わないと考えた場合、それを改善しようとするはず」
「黒助あれで結構そういうの気にするもんな、意地っ張りというか」
次々と的中する推測になのはは脱帽した
なぜこんな時だけ異常に鋭いのかと
そして最後にこう締めくくった
「そして恭也の交友範囲はあまり広くない....もしかしたら我々の内の誰かかもしれません」
瞬間、室内に稲妻が走ったような幻視を見た気がした
「..ふ...ふふふ....」
そして一番最初に反応したのは
「やーん、恭兄ってばその気になったんなら、いつでもゆーてくれればええのに!」
とろけた笑顔を浮かべるはやてだった
「はやて!?まだそうだと決まった訳じゃ!!」
恭兄ったら意外といじらしい所あるやん、とテンション上げていくはやてをフェイトが止める、
「だって恭兄と一番階級差あるのうちやし、直接の上司やもん。だから頑張って昇進しようとしてるのも納得できるで」
「でっ、でも..ほら私だって執務官だし!!」
「でも恭兄も同じ分隊長やで?階級こそ違うけどそこまで頑張るやろか」
「うっ.....」
納得できるようなできないような理由に言い負けるが、
「....たとえ相手がはやてでも、恭也さんは渡さない!!」
理屈と感情は全く別物
すぐさまバルディッシュをザンバーフォームで展開し、肩に担ぐように構える
口で決着がつくような想いで、恋する乙女はやってられないのだ
「ふふふ...ええ度胸やフェイトちゃん、存分に相手したるで!」
怯えて逃げるリィンをひっ掴みユニゾンを果たす
シュベルトクロイツを掲げ、いざ勝負というときに
「―――その勝負、私も加えていただきたい」
『!?』
第三の勢力が名乗り出た
それは...
「「シグナム!?」」
猛る焔の魔剣を構える烈火の将だった
「シグナムも恭兄狙ってたんか!?」
「いえ、今までは主を応援する腹積もりでした」
「へ?」
「ですが....」
シグナムは不敵な笑みを浮かべると
「精力的に上を目指す様を見ていると...不思議と良い男に見えてきました。あれを見逃すのは少々惜しい」
『.....!?』
げに恐ろしきはギャップ効果か
人が変わったかのように真面目に働く恭也の姿に、元々少なくなかった好感度は、ここ最近で一気に急上昇を遂げたようだ
―――主に剣を向けるほどに
「やるっていうなら....」
「シグナムといえども容赦はせんで...?」
「...望むところです!!」
数分後、はやての部屋を中心に六課は半壊した
ちなみに全く反応がなかったなのは、シャマル、ヴィータの三人は、フェイトがバルディッシュを構えた時点でさっさと逃げ出していた


次回の更新も楽しみにしております。
ではないかと思うんですが・・・違っていたらすみません
米をさっき書き込んで今日の分の続きを読んだら
当に其のとうりの物が挙がっている。
ひより氏貴方が神か!!
と、続きを拝読しに逝かせて戴きます。