はやての部屋を脱出したなのはは恭也を探していた
遠くに聞こえる爆音と、時折ビリビリと伝わってくる振動には気付かない振りをして
「えーと.....」
脱出する際にスケジュールボードを覗いたら「鍛錬」と極めて簡潔に書いてあったために、恐らく恭也はここ室内訓練場にいるはずだ
「どーこかなー...」
幾つもある訓練室のどこにいるかまではわからない
差し入れにと購入したスポーツドリンクを片手に、部屋を一つ一つ覗いて回るのだった
「――――シッ!!」
カカンッ
空中に次々と現れる人形――仮想ターゲット――に向けて魔力で生成した飛針を叩き込む
飛針は狙い通り頭部と胸部に突き刺さるも....貫通までには至らない
「フッ!」
背後に現れたもう一つの人形に向かって同じく魔力で生成した鋼糸――番手は切断用の零番――を二本、遠隔操作プログラムを使って巻きつける
鋼糸は左右に弧を描いて首、右腕にあたる部分に巻きつく、そして....
「.....」
軽く手首を返すだけで鮮やかな切り口を見せて断たれた
「ふぅ.....どうだ?」
軽く呼吸を整え、恭也は己の相棒たるデバイスに声を掛けた
『飛針の方は今一歩、といった感じだな。運動加速魔法の再三に渡る調整でだいぶ威力は上がったが....それでも足りんな、バリアジャケットはともかく、シールドはともかく、並のバリアも貫けんだろう。
鋼糸の方は特に問題ない、後はいくつまで同時に操れるかが鍵だな』
デバイスから聞こえるのは少しハスキーな女性声―――アームドデバイス「不破」のAI(厳密には違うのだが対外的にそういう事になっている)不破だ――
「ふむ....やはりそんなものか」
人形の強度は平均的なバリアジャケットに合わせてある
つまり優れた魔導士のバリアジャケットでは、飛針が弾かれてしまう可能性がある
『やはり単純な直線加速では限界があるな』
「ふむ....飛針の質量と長さを調整してみるか」
試行錯誤を重ねる事で、それなり使えるようにはなってきたがまだ頼りない
「...例のプランは使えそうか?」
『何回かシミュレートしてみたが理論上は可能だ。だが不破のソフトウェアに問題があるな、実行に移す場合はプログラムの一部を書き換える必要がある』
「ふむ....一度デバイス翁に相談してみるか」
『シャーリーでも良いのではないか?』
「不破に関してはメンテナンス以外はデバイス翁に一任してある、シャーリーに任す事になるかもしれんがまず翁に伺いを立ててからだ....それとは別にシャーリーにも頼みたい事があるしな」
この男いったい何を企んでるのだろうか
「―――で、なんとなく分かるが何をしてるんだ?」と唐突に背後に声を飛ばすと
「にゃー!?見つかった!?」忍び足で近づいて来ていたなのはの姿があった
「脅かそうとしている方が驚かされてどうするんだ馬鹿者.....」
音は消す努力はしていても気配は全く消えていなかった
「うー、ここまで近づけたから今日こそ「だーれだ?」ってできると思ったのに...」
恭也まであと3メートルといった所だった
「この部屋に入ってきた時点で気づいとったわ、御神の剣士の背後をとるには10年早い、せめて美由希レベルの隠業を身につけてから来い」
「そんなの無理だってばーっ!!」
「まぁ美由希レベルであっても気づくんだがな」
「それじゃ意味無いじゃない!」
「はっはっは」
あぁ楽しい、やはり妹いじりはやめられん
「それでなにしてたの?」
「ん?あぁ...」
スポーツドリンクを渡し、二人並んでベンチに腰掛ける
うっすらと流れる汗の匂いに、すこしだけドキドキとしてるのは、なのはだけの秘密だ「現状の確認...といった所だ」
「?」
「足りないものの把握ともいうか」
一口スポーツドリンクを飲んで喉を湿らせる
「なのははわかってる事だが...俺には魔力、そして魔法の才能が乏しい、特に射撃砲撃に関しては絶望的だ」
これは比較的有名な話だ
「中距離の牽制に使っている飛針も厳密には射撃魔法じゃない、自分で投げた後、魔法で加速してるだけだ」
「ふむふむ」
「もっともそれに関しては特に悲観していない、俺は剣士だからな
重要なのは接近戦...クロスレンジだ」
遠距離に関しては捨てて良い、元々戦い方自体真逆だからな、だが....
「困った事にクロスレンジに関しても中途半端、といったところが現状だ」
「...え?」
なのはは驚いた顔をしている
「あれだけのスピードと技を持っていて中途半端?」
「ふむ...言い方を変えるか」
確かに速度と技量にはそれなりの自信があるが...
「俺には決定打が無いんだ、致命的に」
「....?」
つまり
「一撃が軽いから手数で押しても最終的にはうち負けるんだ」
「....あー、なるほど」
ようやくわかったらしい
「俺の攻撃の殆どは、シールドで防がれる、徹のおかげで辛うじてダメージは与えられるがそれだけだ」
思い出すのは不破が出来上がった直後のシグナムとの戦い、御神流最大の破壊力を持つ雷徹をあっさりと潰された事
そして闇の書との戦いの時、強固なシールドに為す術も無かった
「御神流は、裏の世界ではかつて最強と謳われてはいたが....正直な話魔法相手では力不足は否めないな」
少々悔しいがそれが現実だ
「俺の剣の技量はこれ以上は上がらんだろう、修得できる事は殆ど身につけたし、肉体も考えうる限界まで鍛え上げた、後は衰えんように気をつけるくらいだ」
つまり
「これ以上、上を目指すには....魔法を鍛えるしかない、というのが俺の結論だ」
だからこそ、乏しい力で何かできるか模索している訳だが
「....おにーちゃん」
「ん?」
今まで黙って聞いていたなのはが急に声を上げた
「おにーちゃんの、諦めないで前に進もうとするのは、良い所だしかっこいいと思うの。でもね...」
腕にしがみついてひどく弱々しい目で上目づかいに見上げるなのは
「お願いだから無茶だけはしないでね...?」
「...なのは」
「私は、おにーちゃんが今のままでも構わない、無理して強くなんかなってほしくない」
服を掴む手に力がこもる
「おにーちゃんが上を目指すなら、私もお手伝いするから!役に立たないかもしれないけど、頑張ってお手伝いするから!だから無茶だけはしないって約束して....!」
....まったく
俺には勿体ないくらいよくできた妹だ
「心配するな」
「わぷっ」
ぽふっと
涙目になったなのはの頭を撫でてやる
「もう二度と、家族を泣かせるような真似はせんよ、約束する」
「....ほんと?」
「あぁ」
「嘘つかない...?」
「兄は人を泣かすような嘘はつかん」
「....うん、信じるからね?おにーちゃん」
ようやく笑顔に戻ったなのはの頭を、今度は強めに撫で回す
「うっ、うにゃぁ!?」
慌てて髪を直す姿に苦笑
「....それに、策がない訳でもないしな」
「うー...え?何か言った?」
「いや何でもない」
ベンチから立ち上がった軽く伸びをして
「なのは、模擬戦に一回付き合ってくれ」
「...にゃ?」
「相性の悪い相手も倒せるようにならないとな....手伝ってくれるんだろう?」
なのはは少し呆けた顔をするも
「....うん!手加減しないからね!」
すぐに満面の笑みを浮かべるのだった
「望むところだ」
その後、空中からアクセルシューターの雨を降らされ、バインド+ディバインバスターで呆気なく吹っ飛ばされた
「お、おにーちゃん大丈夫.....?」
「....少しは手加減しろ」
長篠の戦いで鉄砲隊に負けた武田騎馬軍の気持ちがよくわかった
あとがき
どうもこんにちは
ひよりです
新作が完成したのでお届けいたします
今回は、希望の多かった写真事件と、次回への複線話を書きました
期待通りの作品になったかな?と不安ですがが楽しんでいただければ幸いです
では


次回の更新も楽しみにしております。
いやぁ、今回も楽しませていただきました。
これからの展開は期待度MAXでございます。
それでは次回も楽しみにさせていただきます。
凄いですね、集中力切れちゃうな流石に…
まぁ、携帯何ざ持ってませんがね(17歳高校3年生
なのは、取り合えず恭也に接近戦を習え、如何に仲間を騙し敵を騙す術とか…覚えてたら便利だぞwww
それにしても…恭也変心の理由がなのはさんにあるとわかったらそれこそはやて対フェイト対シグナムどころじゃない被害が予想されます。
つーかおまいら外でやれw
今後の続編にも期待しています。
自分の感想としては。
前半部分の勘違い恭也争奪戦が過熱して行くのを
想像するとニヤけっ放しです。
後は…恭×なのをメインに置きつつも
ハヤテ×シグナム×フェイトのハーレム要素
をどの様に描くのかに期待させて頂きます。
今回も楽しく読ませていただきました。
恭也の勤務意欲向上の原因はなんとかばれずにすみましたか。
次の作品も期待しております。
いや、オチを見るとそう言わずにおれないというか・・・
秘密は守り通しましたか…まぁ、今の時点であれだけ壊れまくる面々、事実を知ったらどれだけの悲劇が起きるか…(ガクガクブルブル
いや〜シグナムの憶測のはずがいつの間にか信じられちゃってますな…
これからハーレムな押しかけ妻合戦が始まるのでしょうか?ドキドキワクワク
最後に、はやての尋問テクニックに悶えるなのは萌え(ぉぃ
また、素晴らしい速さで続きが来ましたね!
とりあえず、シグナムは参戦として、後は誰が争奪戦に参戦するんだろう?
あと、恭也の自身の強化策が気になる所ですね。
どんな奇策を思い付いたのか?どの程度強くなるのか?
楽しみに続きを待たせていただきます!
……なのはとの事実がバレたら、血を見そうだなぁ……主に恭也が(苦笑)
はやてもそうですが何気に取り押さえるためにソニックフォームになったり対はやてでは最初からザンバーフォームなどと結構マジで恋する乙女なフェイト嬢に萌えました。
しかし恭也となのはの二人は一見恋人同士な会話みたいな感じですが相変わらず恭也は妹扱い・・・・・・・先は結構長いと思うぞ?なのは嬢w
恭也の強化案ですが・・・・・・・・・・・・・・質量のある残像?(チョットマテ
や、恭也の技術と不破の構成力だったらできそうな気がするんですけどね〜・・・・・・・・攻撃力が変わってないんで問題が一切解決されてませんが(爆
また楽しみなシリーズが増えたなぁ。
なのはさんがまた可愛らしいですね。
はやてにいじられたり、ヴォルケンズにビクビクしたり。
最後の模擬戦ですら天然だと思えば微笑ましいものですよ。
では次回も楽しみに待ってますね。
今回はギャグのテストも兼ねていたんですが....やはり他の作家さんには負けますね
キレの悪さを痛感しております
そして次回は恭也くん強化プランの御披露目
今まで何人かの作家さんが恭也くんを改造しているので少しネタの仕込みに時間をかけたいと思っております
しばらくお待ちください
でわでわ
もう、続きがでましたか。
…ヴィータとシャマルは脱落かな?
さて、何時までこの『秘密の関係』が続けられるのか?
そして、発覚した時の周囲の反応と被害はどうなるのか?
次回も楽しみにしています。