2007年08月01日

高町兄妹シリーズ新たな刃後編1 by ひより

3.成長の証

「....どうしてこうなったんだ?」
「細かい事は気にするな」


「不抜」を受け取った直後、シグナムに強引に引きずられて(比喩表現ではない)屋外訓練場に連れて来られた


「襟を掴まれたせいで首が痛いんだが」
「気にするなと言っている」
いや首軽く締まってたぞ?


「なに、「不抜」の慣らしに付き合おうと思ってな」
「....そういう事か」
シグナムはやる気満々なのか既に騎士甲冑を纏っている
楽しそうな顔しやがって

「今主達が記録の準備をしているから少し待て」
「....今日はいつになく強引だな」
「そうか?」
ずいぶんとテンション上がってるぞ

「まぁ確かに慣らしは誰かに頼むつもりだったが.....」
遠中近をオールマイティにこなせるフェイト嬢辺りに頼むつもりだったんだが.....
「なら良いではないか、それとも.....私では不満か?」

.......
「いや、シグナムなら相手にとって申し分ない」

だから、寂しそうな顔するんじゃない

「...そうか」
今の言葉に安心したのか、小さく微笑を浮かべる

まぁシグナムも万能寄りに違いはないからな

「不破、調子はどうだ?」
『特に問題はない、シンクロプログラムも正常稼動している、恭也次第だ』
「まぁぶっつけ本番になるがなんとかなるだろう」

本当は少し試してからが良かったんだが

『しかし.....同調とは不思議な感覚だな、意識は一つなのに、体が2つあるというのは妙な気分だ』
「どんな感覚か想像もできん」



《記録の準備は終わったでー、二人とも頑張ってなぁ》
訓練場の隅にあるスピーカーからはやて場の声が聞こえた

「では始めるとしようか」
「そうだな」
互いに武器を構えようとすると
『まて二人とも』
「「..不破?」」
不破が待ったをかけた

『一つやる事がある、恭也カートリッジを一つ使うぞ?』
「?、あぁ」
『Rock'n roll!!』
[不抜]から撃発音が聞こえると
『Armor do up』
一瞬体が光に包まれ

「....これは」
体に黒い鎧装束を纏っていた
「....バリアジャケットか?」
『正確には騎士甲冑だ、術式が古代ベルカだからな、不抜のおかげで展開できるようになった』
あぁ、不破にはバリアジャケットのプログラム入ってないんだったか

「どことなく私の騎士甲冑と似ているな」
「....言われてみればそうだな」
恭也の鎧は全体が黒と赤であることを除き、シグナムのソレと似通っていた
『シグナムの騎士甲冑を参考に男性用にアレンジした。一番戦い方が似ていたのでな』
「なるほど」

軽く動いてみる
「.....凄いな、ゴチャゴチャとパーツが付いているのに全く動きに支障がない」
『体に合わせて補正されるから問題ない筈だ』
「おまけに滅茶苦茶軽いな...何も着てないように感じる」
『あながち間違ってないぞ』
「....なに?」
『騎士甲冑はフィールド系の結界魔法だからな、魔力で作った疑似物質だ。さらに着ていた服はデバイスの中の異空間に収納されるから、正確には何も着ていない事になる』
「なるほど動きやすいわけだ」
『カートリッジ一発で一時間展開可能だ、破損したり時間が切れた場合は再生成する事になる。気をつけろ』
「承知」

じゃあ気を取り直して


「始めようかシグナム」
不破を右手で抜く

「あぁ待ちくたびれたぞ」そういって笑みを浮かべてレヴァンティンを構える
「恭也が一体何を企んでいたのか...楽しみだ」
「人聞きの悪い事を言うな」
「だがデバイスを作ったからには、それなりの理由があるんだろう?」
「...まぁ見てのお楽しみだ、不破!連装撃発!」
『On the beat!!』

不破と不抜両方から撃発音
二発分の魔力が体に満ちる
同時にシグナムに向かって駆け出した



「ふっ!!」
間合いに入る直前でフェイントを掛け、真横から横薙の一撃を叩き込む
「っ!はぁっ!!」
その一撃をシグナムは冷静に受け止め、捻るように打ち払った
「....シッ!」
その反動を利用しすぐさま不抜を抜刀、逆手に持ち逆袈裟に斬り上げる
「チィッ!」
僅かに背を逸らす事で避けられる、その時引き戻していたレヴァンティンを上から叩きつけてきた

腰を落としながら右足で地を蹴り、後ろに飛び回避すると
「―――ハアァッ!!」
すぐさま斬撃を正面への刺突に変え、踏み込みと共に追撃してきた
「―ふっ」
右へ半歩、軽い呼気に合わせ左手の不破で突きを回し受け、体を反時計に捻りシグナムの懐に入り込もうとするが、
「レヴァンティン!!」
『ja!』
カートリッジの撃発と共にレヴァンティンが爆炎を纏う、そして
その反動で強引に引き戻したレヴァンティンを両手で持ち
「ハアッ!!」
一歩後ろに下がり全身の力で薙払った

(―――くそっ)
両足で跳びすさり、紙一重で薙の範囲から脱する

「ふう....少し危なかったぞ」
「....今のを避けるのか...?」
炎を纏ったままのレヴァンティンを正眼に構える

「今までよりスピードが上がっているな」
「いつもの身体強化に加えて、運動加速魔法も同時にかけてあるからな」

デバイスが二本になった恩恵で二種類の魔法を同時に発動できるようになった
....もっとも術式の七割を組んでいる不破のおかげだが

「だが....その程度では強くなったとは言えまい」
まぁこれはおまけみたいなものだからな

「じゃあそろそろ驚いて貰おうか...ちゃんとついてこいよ?」
不破の思考解析装置を介して作戦を伝える
「行くぞ、不破」
『Rock'n roll!!!』
カートリッジを一発使用し
『Alter servant』
魔法を起動する

「.....?」
シグナムは怪訝な顔を浮かべた
確かに魔法を使用したのに特に変わった様子がない

「じゃあ行くぞ、目を離すなよ」
シグナムの疑問も意に介さず、再び突撃する
今度はシグナムの周囲を緩急をつけて駆け回り死角に入ろうとする



(....確かに早い)
補助魔法の恩恵で、ただでさえ早かったスピードが更に早くなっている、が
(追い切れぬ程ではないっ!!)
とちょうど右やや後方に回りこんできた恭也に向かい
「....フッ!!」
右足、腰.胸、腕と連動させた捻りを生かした横薙を叩き込む
(このタイミングでは避けられまい!!)
神速でも使わぬ限り避けられない位置
そして、炎剣が恭也の胴を捉え――

ドゴォ!!

「がはっ!?」
――背中に強烈な一撃が叩き込まれた

二メートルほど吹き飛ばされ、前宙をして受け身を取り振り向くと

「....むう、やはり虎切一撃では沈まんか」
『強化せねばこんなものだろう』
確かに捉えたはずの恭也が、平然と立っていた

(なにが起こった!?)
素早く体を直しレヴァンティンを構える

その間に、恭也は不破をペン回しのように回転させ、片手で器用にカートリッジを装填する
「.....今のは神速か?」
「さてな」
問いにはぐらかすもシグナムは確信していた
今のは神速ではない、もっと異質な何かだと

「続けるぞ」
再び恭也が向かってくる
不破を逆手、不抜を順手に流れるような連戟
「くっ!」
先ほどの奇妙な動きも気にかかり、防戦一方になる
そして、
「ガッ!?」
受け止めたはずの斬撃が消え、今度は真横から衝撃がくる

「どうしたシグナム、調子が悪いのか?」
そんな挑発を気にかける余裕はない
(まったく...何がどうなってるというんだ...!?)


その頃のモニター室

「凄い.....」
「あのシグナムさんが手玉に取られてる....?」

スバルとエリオは一連の攻防に魅入っていた

「神速...じゃないよね?」
「だと思う....神速は恭也さんの切り札だもん、こんな場面で使うような事はないと思う」
なのはもフェイトも、なにが起きたのか判っていない
シグナムと斬り結んでいる恭也が、突然消え、全く別の場所から現れているのだ

モニターの中では今も続いている
既に五回以上、恭也は神速に似た動きを行使し続けた
「これだけ連発してるとこ見ると、やっぱり神速やないなぁ」

「....やっぱり....でもそれだと....ううん間違いない」
「....ティアナ?」
先ほどから何かブツブツと呟いているティアナにはやてが声をかける

「...高町先輩が何をしているのかわかったかもしれません」
「えぇ!?」
奇しくも、ティアナとシグナムは、同時に同じ答えにたどり着いた




「.....幻術魔法かっ!」
「ご明察」
恭也はあっさりとネタばらしをした

「自分の虚像を作って、死角に入ったときに素早く入れ替わっていたんだ、俺自身には透明になる幻術魔法を使ってな」

『Conceal cloak』
魔法を発動させ、一瞬だけ消えてみせる恭也
「...いつ魔法を使ったのか、まったくわからなかったぞ」
「音声起動じゃなくアクショントリガーを使っているからな、一々喋っていてはタイミングがまるわかりになる」


そうなのだ
恭也は虚像を作る魔法『Alter servant』と、透明になる魔法『Conceal cloak』を数瞬だけ織り交ぜる事で神速と似た効果を作り出していたのだ


「俺は所詮は剣士、魔法の才能など無いものだと思っていたが....どうやら幻術魔法には少しばかり素養があったらしい」

「いつのまに覚えたんだ?」
「形になったのは最近だが...一月程前に無限書庫で幻術魔法の教本を見つけてな、不破に教師役をしてもらっていくつか修得した」
以前、自分にあった魔法はないかとユーノに手伝ってもらいながら探し回り、偶然出逢ったもの

「不破のサポートがなければまだまだだが....この魔法は実に俺向きだ」
不破と不抜を構え、恭也は不敵な笑みを浮かべた



「やっぱり幻術魔法だ...」

同じく幻術魔法を扱う魔導士であるティアナも、恭也の術のからくりに気づいた
「はぁ〜...幻術魔法って凄いんやなぁ」

昨日までの恭也とはまるで違う強さに、はやては舌を巻いた
「ティアも同じような事できるの?」
スバルが訪ねるも

「ううん...私には無理」
ティアナは首を横に振った
「高町先輩のアレをみると、凄く見えるんだけど、幻術魔法はそんな便利な魔法じゃないの」
幻術魔法が広く使われてないのには理由がある

「まず、虚像を作る魔法は、攻撃を受けたらすぐわかってしまうの」
虚像が攻撃を受けると揺らいだり、消えてしまったりする
「透明になる魔法も数秒しかもたない...私だけじゃなく、多くの魔導士は、幻術魔法を使う利点が殆ど無い」
故に、幻術魔法は、[消費魔力の割には使えない魔法]、という評価をうける

「抜群のスピードを持ち、高い回避力をもった高町先輩だからこそ、あそこまで幻術魔法を使いこなせるんだ...」



「不破、弾丸撃発」
『Rock'n roll!!!』

カートリッジを発動、そして

『Alter servant』

――ヴンッ
空気が震えるような音と共に

「――なっ!?」
恭也が7人に分身した

『今の俺ではこの数が限界だ....』
7人同時に喋っている
『全力で行く、防いでみせろ!!』
全く同時に動き出した


7人の恭也がシグナムの周りを不規則に飛び回る

(まったく区別が付かん...!)

ヒュン

三人が同時に飛針を投げ
「くっ」
レヴァンティンで叩き落とそうとするも空を切る

(幻かっ)

その隙に4人が同時に斬りかかってくる

(追いきれんっ!!)
レヴァンティンと呼び出した鞘で受けようとするも

「ぐあっ!」
本物を見逃し攻撃を受ける

(このままでは削られる...)
だが本物を判別する術はない
ならば....
(まとめて倒せばいい!!)シグナムは大きく飛び上がると
「レヴァンティン!!」
『Schlangeform』

一瞬のうちに直剣が鋼の蛇に姿を変える
「薙払えレヴァンティン.....」
蛇腹剣を大きく振りかぶる

「飛竜――」
蛇に轟炎が絡みつき
「――ー閃!!!」
力強く解き放たれた


炎の蛇は渦を巻いて七人の恭也全てに襲いかかった
「ぐうっ!?」
炎の竜巻は範囲内全てを切り刻み

辛うじてガードした本体を除き全て消滅した

「この機は逃さん!!」
声に反応して上を見れば、再び直剣に戻したレヴァンティンを掲げたシグナムが突っ込んできた

(避けられん....こうなれば一か八か!)
二刀を構える

「連奏撃発!」

二発の撃発音と共に魔力が漲る

「紫電――」

そのまま炎を掲げるシグナムに向かって地を蹴り
『Sparkle wrap』
魔力を二刀に流し込む

――御神流 奥義乃伍・我式

「――ー閃!!」
「はあぁぁっ!!」

纏魔 雷徹――

白く輝く二刀の交差を叩きつけた

ガァァン!!

鉄塊のぶつかり合ったような轟音と共に、二人は正反対の方向に吹き飛ばされた


「ぐうっ」「がっ!!」
シグナムは辛うじて着地し、恭也は受け身が間に合わず叩きつけられた

「――今の技は...」
「ぐう、カートリッジ2つ使っても押し負けるとは....」
シグナムの上から叩きつける一撃に対し、下から迎え撃った恭也
重力による加速もついた一撃を相殺する事はできなかった
ゆっくりと立ち上がる恭也

「恭也....今の技はどうした?」
シグナムが驚愕を含んだ顔で尋ねた
「――詳しい説明は後でするが...今のが俺の本命だ」
二刀にまとわりついていた無機質な白い光の残滓が消えていった

「...わかった」
「続けるぞ、まだ試したい事が残ってるんでな」

不破にカートリッジを装填、不抜も空になったマガジンを交換する

シグナムもレヴァンティンを開き、カートリッジを補充する

「....やはり、馴らしに付き合って正解だった」
ぽつりと、シグナムは呟いた
「....シグナム?」
レヴァンティンを下に下ろし、こちらをみたシグナムと目を合わせる

「久しぶりに心が躍る....やはりお前と闘うのは愉しくて仕方がない」
頬を僅かに紅潮させ、シグナムは微笑んだ

「....物騒な奴だ」
その表情に少しだけドキリとする

「お前は愉しくないのか?」

「.....それなりに」
「だろう?」
仲間内にシグナム以上の剣士はいない

幾度となく剣を交えたが、まったく飽きが来ない

「休憩は終わりだ――存分に試合おう」
「ほどほどにしてくれ」

また、飽くなき闘いが始まる
posted by TRASH BOX at 23:21| Comment(4) | 三次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オプティックハイドとフェイク・シルエットの
使い分けが上手すぎる!!

オプティックハイドは身体や衣服の上に
複合光学スクリーンを展開し不可視状態になる
利便性の高い魔法ですが、弱点として
激しく動いたり魔力を大量に使用すると
スクリーンの寿命は加速度的に縮んで
姿を現すことになると謂う性質が在る事を
理解した上で高速戦闘で使いこなす
恭也のセンスに惚れ惚れ致しました。

高位幻術魔法であるフェイク・シルエットも
七体同時の幻影操作はsts1話の
ティアナでは2、3体が限界だったとの事と
比べれば素晴しい錬度ですね。

こんな所で続き読ませて頂きます。
Posted by hou at 2007年08月02日 02:39
そうかそんな名前だったのかティアナの幻術魔法....
StS見れないんでWikiなんかで調べたんですが名前が判らずオリジナルに

携帯で見れるサイトとか探した方が良いのでしょうか....
Posted by ひより at 2007年08月02日 15:42
ひより氏へ・・・
NanohaWikiのStrikerS/魔法/ミッドチルダ式の
幻術魔法からのコピーペーストでしたが
御役に立てたのならば幸いです。

御必要か判りかねますが同上の全文を
コピーペーストでうpして置きますね。


幻術魔法
主に、ティアナ・ランスターが使用する。
機械のオートスフィアやガジェットドローンにも効果がある。 この事から、生物・非生物を問わず、また、神経やセンサーに関係なく効果があるのか、あるいは光学的・物理的な効果が発生しているのではないかと考えられる。
「珍しい!渋い!」とギンガが口にしている(StrikerS漫画版Episode6)ので、使い手は少ないと思われる。
本編12話で物理衝撃に弱い旨をティアナが述べていたが、「私のシルエットは」との言葉があったため、物理的な衝撃への対応ができるものもあるようだ。



オプティックハイド(Optic Hide)
使用者:ティアナ・ランスター
術者と術者に接触した対象を透明にし、見えなくする幻術魔法。
身体や衣服の上に複合光学スクリーンを展開し不可視状態になる。また、この時単純なレーダー・センサー類であれば騙した完全なステルス状態になることも可能。 かけられた対象が、激しく動いたり魔力を大量に使用するとスクリーンの寿命は加速度的に縮んで、姿を現すことになる。
使用話数:StrikerS第1話、第4話、第11話



フェイク・シルエット(Fake Silhouette)
使用者:ティアナ・ランスター
単体あるいは複数の幻影を発生させる高位幻術魔法。 幻影に攻撃が直撃すると消えてしまうが、肉眼や簡易センサー類では見抜けない精度を誇る。
また、第12話で、ティアナ自身が「衝撃に弱い」と言っている。
第1話の時点では、魔力を非常に消耗するので、長時間使用し続けることは出来ないとされている。また、この時の使用の様子からみて、行使中はティアナ自身は移動もできないと思われる。この頃のティアナの制御能力や魔力では2、3体が限界だったとのこと。
第4話では、他人(スバル)の幻影も発生させている。 さらに第8話の模擬戦ではかなり距離があったなのはまでレーザーポインタのような光を走らせて照準を付けているように見せかけるという手の込んだ幻影を発生させており、ちゃんと練度が上がっていることを示していた。
第12話では無機物の幻影を発生させた。
第17話ではキャロの援護を受けながらも、ナンバーズのセンサーも騙す対策を立てた上で一気に数十体の幻影を出してナンバーズを混乱に陥れた。
使用話数:StrikerS第1話、第4話、第8話、第12話、第17話


Posted by hou at 2007年08月03日 01:21
むう、Wikiにここまで詳しく載っていたのですか
見落としてました

参考にさせていただきます
ありがとうございましたー
Posted by ひより at 2007年08月03日 03:53
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