2007年08月02日

青年と少女の休日山登り?編 by kagura

 透明な景色――ふと、そう感じた
 数瞬の後、そんな景色は無いと思い直し、止まっていた足を動かし始める
 熱い暑い夏の日――その熱を遮ってくれる木々を仰ぎ見る
 綺麗な緑とその隙間に映る透き通る青……正に快晴と言える、夏の日
 ――でも、もう少し雨も降ってほしいなぁ…と思ってしまう
 暑いし……まぁ、風が気持ち良いが…でも少しくらいは?
 ミッドチルダの首都、クラナガンから少し離れた場所にある廃れた山間公園――目指す場所は、そこだ
 近くにお店も無く、民家も無い――何故そんな場所を目指しているのかは、まぁ…犯人はあの人なんで
 しかも突発なので服とかも、まぁ……動き難いし…

「フェイトさーん?」「フェイト?置いてくよー」「あ、待ってアルフ――」

 考え事をしていたら、一緒に来ていた少女――アルフとリインに置いて行かれそうになっていた。
 と言うか、二人とも場所知らないよね?
 もう――

「そんなに急がなくても、頂上は逃げないよ?」「早く遊びたいし?」「ですねー」

 ……元気だなぁ…
 私は結構きついんだけど…山道とか、歩き慣れてないし
 そもそも、こんな――

「まずは天辺で水浴びしたいね?」「はいですっ、もう木の葉っぱとかで汚れてベタベタです…」

 ――着飾った格好で山登りなんて、普通はしませんよね?
 自分の服装を見下ろす。黒生地に紅いラインの入った膝丈のワンピース。
 それに恭也さんからもらったリボンで髪をまとめ、麦藁帽子で日差し予防――山登りの格好では、無い
 絶対、違う
 ……はぁ…もう、最近何だか妙に子供っぽいと言うか、こう――なんと言うか

「どうしたの?」「ううん、なんでも――アルフとリインは元気だね」「はいっ、山登りは初めてですから」

 そうなんだ…でも、アルフの肩に乗ってるから、山登り……とはまた違うんじゃないかな?
 景色を楽しんでいるというか…まぁ、些細な事か

「シグナム達とは行かないの?」「うーん…皆さん、仕事が忙しいですから」

 へぇ――シグナム達の事だから、リインがお願いしたら二つ返事で…ってイメージがあったけど
 流石に、仕事と家族なら仕事を取るの…かな?
 そんな事を考えながら長い上り坂を登り始める。
 荷物は何も無い。手渡された地図(書置き?)と500mlの飲み水だけだ。
 それもスパイクフォースの――えっと、コースキーさん?だったかな?
 恭也さんの後輩さんから手渡された物だ。
 ……いや、恭也さん?こんなものをいきなり渡されても普通は困るんですよ?
 地図の示す場所はクラナガンの時空管理局の本局から電車で30分、バスで30分、徒歩15分の場所にある――人気の無い森林だった。と言うか山だった。
 アルフとリインが居なかったら、幾ら恭也さんに呼ばれたからと、一人では近寄りたくは無い場所です…

「あ、でも――確かヴィータちゃんとシグナムさんは今日、お爺さんと一緒のはずですよ?」「え――?」

 えっと

「なんだ、そしたら山の天辺には恭也にヴィータ、シグナムが居るのかい?」「えっと――そうなるんでしょうか?」

 ん?

「リインも、詳しい事は聞いてない…?」「はい、今日はオフでしたし――お爺さんには何も言われてません」

 ふ――ぅん

「最近はこんなイタズラっぽいのはしてなかったんですが…油断しました」「あ、あはは……」

 よっぽどなメに遭ったんだね…アルフと二人で苦笑してしまう
 ――そんな事を言うリインも、まぁ…そう悪くは思ってないようだし?
 困ったとはまた違う…しょうがないとか相変わらずというか、そんな感情の笑み
 ……ああ、この子も恭也さんのことが好きなんだなぁ――と、訳も無く、そう想う
 ん?

「―――――そっか」「はい?どうかしたの、フェイト?」「え?あ、ううん……それにしても、今日も暑いね」
「ですねー…木陰は気持ち良いですよ?」「と言うか、飛べるんなら飛ぼう…微妙に歩き難いんだけど?」
「はぅ――残念です」「なら、私のほうに来る?」「良いんですか?」「うん。帽子に座る?」「はいっ」

 本当、元気だなぁ――と、大きな麦藁帽子に、微かな感触

「落ちないようにね?」「はーい」「うん、良い返事」「甘やかしちゃ駄目だよ、フェイト?」「大丈夫だよ」

 ね?と、リインと笑い合い

「気持ち良いね――涼しくて」「ですねぇ」「だね」

 はぁ――山頂は、まだもう少し先…あと、30分くらいかな?

「でも、このペースならお昼前には着けそうだね」「うん、だと良いけど…」

 まぁ、良い気分転換にはなるかな?
 少しきついけど、綺麗な景色と涼しい木陰に癒されるし
 最近はまた、部屋に篭って勉強ばかりだったし――ね
 うん、伸びを一つして――

「わわっ」「わっ、ご、ごめん…」

 頭にリインが乗ってるの、忘れてた

「何をやってるんだか」「ゴメンね、リイン?」「いえ、気にしないで下さい」

 本当、ゴメンね?
 今度は忘れないようにして、頭上のリインが座りやすいようにゆっくりと歩く
 入り口の所の看板には山頂まで1時間前後と書いてあったから、そろそろ終わりが見えてきても良いはずだ

「でも、静かで良い所ですね…なんで人気が無いんでしょう?」「うーん、なんでだろ?フェイト判る?」

 え?えっと…

「…周りに何も無いからじゃないかな?それに、都心からも外れてるし――」

 多分、それに――そこまで“自然”に目を向ける人が多くないんだと思う…多分、だけど
 こんなに綺麗なのに…勿体無い、な
 輝くような緑、透き通るような青、美しい“自然”――その簡単に、最低限だけ舗装された道を歩く
 恐らくこれも、必要以上に“自然”を傷つけないように…といった配慮なのかもしれない
 もしかしたらただ単に、そこまで予算が無かっただけかもだが――私は、違うんだろうな、と
 こんなにも“綺麗”なんだから、最低限手を加えるだけに留めたかったんだろう……
 そう思うと、なんだかとても

「どうかしましたか、フェイトさん?」「ん?うん――綺麗な場所なのに、勿体無いな…って」
「だよねぇ――自然を少しでも傷つけたんなら、それに敬意を払ってほしいもんだ」「そうだね――」

 本当、身勝手だよね――アルフは特に、そう思うんだろうね…自然に生きていた狼だから
 ふぅ――

「フェイトはこんな大人になったら駄目だからね?」「ふふっ――気をつけるよ、アルフ」

 大丈夫。貴女が居るもの――

「リインも気をつけますー」「リインは大人になれるのかい?」「わ、失礼ですよアルフさんっ」

 もう…

「あんまり、リインをからかっちゃ駄目だよ?」「気をつけるよ」

 そう言って、おどけながら肩を竦める様は――

「何だか、言い回しがお爺さんっぽいですよ…」「う―――」

 うん、本当に――
 流石にそれは嫌だったのか

「これからは気をつけるよ」「そうして下さい」

 ふふっ、今回はリインの勝ちかな?
 さ、

「行こうか?もう少しだよ、多分」「だね」「はーい」

 もう、今日はいきなりこんな所に呼んでどうしたんですか恭也さん?
 でもまぁ――本当に、良い所……

「良かったね、夏休みで」「そうだね――普通の日曜日だと、こんな遠くまで来れないしね」
「ですねぇ…リインもここまで遠出したのは初めてです」「そうなんだ?」
「はいっ、アルフさんは?」「アタシはまぁ――昔はちょくちょくと?」「そうですかー」

 相変わらず仲良いね、二人とも――
 本当の姉妹みたい――







 そんなこんなで30分後――
 キン、カン――と、金属…刃の打ち合う音が何処からか聞こえてきた
 そっか――ここはあの人達の鍛錬の場所なんだ

「こんな場所でまで――何やってるんだか」「まぁ、皆さんですし?」

 そうだね……ふふっ
 さっきまで通ってきた道と同じような場所――でも、少しだけ手の加えられた…開けた場所
 舗装も何もされてないけど、広い――ドーム状に広がった広場
 多分、ここでテントとか張って寝泊りする場所なんだろう――直径は100m前後かな
 不意に開けた広場は、また先ほどまでとは違った“綺麗さ”があって

「凄い所ですねー」「だねぇ」

 そう言ってはしゃぐ二人を尻目に、ここに居るであろう三人を探す
 キン――と、少し遠くで金属音……右?
 ぁ

「いた―――」「ぅぁ……」

 ん?

「どうかした、アルフ?」「いんや、なんでも?」「???」

 どうしたの?何だか…その、

「嬉しそうですね、フェイトさん」「ん?そう、かな?」「うん――暑いねぇ」「涼しいよ?」
「だねぇ」「???」「どうしましたか、アルフさん?」「なんでもないさ――おーい!!」

 いきなりのアルフの大声に、打ち合っていた刃が止まる――でも、気付いてましたよね?
 特に、恭也さんは気配に敏感だし――シグナムも

「む――どうした?」「はい?」「珍しいな、こんな所まで――なんだ、リインも来てたのか?」
「え?あの――呼ばれたんですが」「「呼ばれた?」」

 えっと……

「スパイクフォースのコースキーさんからコレを…」

 と、恭也さんに件の書置きを渡す

「ふむ――渡した覚えは無いが…」「え?」「さて――黒幕は誰だと思う?」「十中八九シャマルだろうな」

 あの…話が見えないんですが?
 二人で納得しないで下さい

「ああ、すまないな――どうも最近暇らしくてな…犬にでも噛まれたと思って諦めてくれ」「は、はあ…」

 どう言う意味でしょうか?

「何、恭也が呼んだんじゃないのかい?」「残念ながら…こんな何も無い所に呼んでも、つまらんだろう?」
「そ、そんな事は無いですけど…」「そうか?」「はい」

 色々楽しめますよ?景色とか空気とか――それに

「普段来れませんから――新鮮です」「なるほど、そう言う答えもあるか」「はい」

 楽しいですよ?本当に…

「リインも楽しかったよね?」「はいっ」「それは良かった――もう少ししたら嬢も戻る、それから昼にしよう」
「あ――そう言えばヴィータは?」「近くの川に水汲みと釣り…昼の食材の調達に言っている」
「うあ…自給自足かい」「夏のキャンプと言えば、それが定番だ」「ふぅん…楽しそうだねぇ」
「ああ、こういう経験は無かったが、中々捨てたものでもない――テスタロッサもどうだ?」「え?」

 えっと――

「アホ、誘うな紫」「む――」「流石にフェイトには、まだ難しいかな?」

 そ、そうかな…?

「虫は多いし、自給自足だから下手したら飯抜きだしな」「あ、お帰りヴィータ」

 って、後ろから?

「川って、向こうにあるの?」

 来た時は、気付かなかったけど――

「ああ、その崖…じゃないけど、急な坂の下だよ」「あ、そうなんですか…」
「って、何でリイン達が居るんだ?」「色々と問題が、ね」「問題?」

 いや、反応遅いなぁ…
 右手にバケツ、左手に大きな給水タンクを持ってこの山道来たの?…凄いなぁ
 しかも釣竿は無いみたいだし……グラーフアイゼンも、不憫な
 と言うか、バリアジャケットにバケツ……騎士に憧れてる人が見たら、泣くんじゃないだろうか?

「ま、色々と“誰か”が暗躍しているようだ…」「ふぅん――丁度良かったな」

 はい?

「丁度良かった?」「ああ、今日で山篭りも終了だからな」

 そうなんですか?

「コレが最後の昼飯だ」

 と言って持っていたバケツを顔の高さまで持ち上げる――わ、沢山釣ったね 
 一匹、二匹…数えるのも、難しいし

「そうなんだ、シグナム――そう言えば、最近八神の家でも見なかったよね?」
「ん?そう言うお前は、またお前は家に来てたのか…」「あ、あはは――良いじゃん、別に」
「まぁ、良いが…ザフィーラはちゃんとしてたか?」「ちゃんとって…まぁ、普通に?」

 普通?と言うか、アルフ――何時の間にザフィーラに逢いに行ってたの?
 全然気付かなかったんだけど……やっぱり、仲良いよねアルフとザフィーラ

「な、なに?フェイト…」「……何時の間に?」「う――まぁ、散歩のついでに?」
「ついでなのか?」「本気で不思議そうに聞き返すなっ」「む――」

 はぁ

「アルフさんは良く、ザフィーラさんに逢いに来てますよ?」「リインッ!!」「わっ!?」

 もう――
 私の疑問に答えてくれたリインに、若干暴走気味のアルフが食って掛かる
 飛んで逃げるリインと、走って追いかけるアルフを見ながら

「アイツ等も、大概仲良いな…」「なんだ、妹を取られて嫉妬か?」「ちげー…死なすぞ、シグナム」
「物騒なヤツだな…ジャンケンに負けたのはお前の所為だろ?」「けっ――」

 ???

「どうしたの、ヴィータ?」「山篭り三日なんだが――昼飯調達のジャンケンで全敗してるんだよ」
「バラすなよっ!?」「そこまで拘る事か…?」「ったく――だから女にモテないんだよ、黒助」
「それこそ関係無いだろ!?」「お前、管理局でなんて言われてるか知ってるか?」「な、なに?」

 ―――――――えっと

「………何故そこで興味深そうな顔をするかな、嬢?」「え?あ――あ、あははは……」

 ま、まぁ――その、ですね?

「確か、“昼行灯”だったか?」「―――む、そう言われてるのか?」

 って、恭也さんも知らないんですか?

「他にも沢山あるぞ?」「た、沢山!?」「えーっと……」

 ひるあんどん……どう言う、意味なのかな?
 あと、ヴィータ?そんなに指折って…多いの?

「よし、判った。言わなくて良いからな…さっさと飯食って山を降りよう、うん」「そか?」「そうだ」

 む――――

「他にどんなのがあるの?」「聞かなくて良いだろ!?」「え―――っと」

 その、聞きたいです…

「そんな眼をしたって駄目だ」「どうしても、ですか?」「どうしても、だ」

 むぅ…
 本当に、意地悪な…別に聞いても良いじゃないですか
 その――やっぱり、気になりますし……駄目ですか?

「―――大体、妥当な評価しかないと思うぞ?」「妥当――ですか?」「ああ――つまらん事だ」

 えっと…でも、それを決めるのは私ですし…その、それでも――

「―――なんだ」「???」

 どうしたのシグナム?
 何故か軽く睨み合っていた視線を逸らし―― 

「テスタロッサ、恭也のことが気になるのか?」「――――はい?」

 え――ぁ

「その――「あー、疲れたぁ…」――あ、アルフ?大丈夫?」「うぅ、水無い?」

 こ、こんなに暑いのに走り回るから
 えっと…

「恭也さん、飲み水は――その…」「あ、ああ――向こうにテントがある、一緒に置いてるから飲むと良い」
「あ、ありがとうございますっ――ほら、行くよアルフ?」

 恭也さんが指差した方向へ、アルフを引っ張りながら連れて行く

「はーい」

 うぅ――ありがと、アルフ…
 走り回って顔を赤くしてるアルフとは別の意味で――多分、私も顔が紅い…
 判ってます、自覚しています――私が、恭也さんを気にしているだなんて、私が一番よく気付いている
 でも、でもね?

「シグナム――お前ってヤツは…」「な、何だヴィータ?」「もう少し遊べたのに…」
「遊んでやるなよ…」「黙れ“光源氏”」「光源氏!?」「まったく――判りやすいな、お前等は…」
「そんな事は無いだろう?」「そうかぁ?」「何がだ?」「「お前はもう黙ってろ」」「む――」

 もう、シグナムの馬鹿
 何とはなしに、アルフを連れて急いでその場を離れてしまう――ふ、不自然だったかな?
 でも…その、ねぇ?







 アルフと二人で冷たい水を飲んで落ち着いて――

「ふぅ、生き返ったーー」「そう、良かったね」「フェイトはもう要らない?」「うん」

 ふふっ――

「アルフは、何時も楽しそうだね?」「ん?なに?」「――――ううん、」

 なんでもない……口の中でだけ呟き、見渡す
 緑の生い茂った大樹の下に立てられた二つの青いテント、多分――恭也さんと、シグナム達の
 ここで、三日も一緒に居たんだ―――

「良いなぁ…」「どうかした?」「うん――皆でキャンプ、って楽しいんだろうな…って」
「あー…でも、虫とか多いからねぇ」「ふふっ――そうだね」「でも」

 …でも?

「多分、そう言うのって凄く楽しいんだと思うよ?」「だよね――」

 うん……楽しいん、だろうな……

「恭也とかに言えば直ぐ出来ると思うけど?」「うーん…」

 まぁ

「でも、保留…かな?」「ありゃ、どうして?」「だって、次休みが何時合うか判らないし…」
「休み―――ああ」「???」

 あれ?

「なにか変なこと言ったかな?」「ううん――ゴメンゴメン、アタシの勘違い」

 ん??

「そうだもんね、うん――確かに、今年はもう無理かもね」「どうかしたの?」「判り易すぎるって」

 なにが?

「フェイトさーん」「リイン?――――と、恭也さん?」

 そんな事を話し込んでいたら、

「これから昼の準備をするが、一緒にしないか?」

 片手を上げながら、恭也さんが来てくれた

「ああ、折角来たんだ。何かキャンプらしい事でも――とな」「はあ……」

 えっと…

「はい、手伝わせていただきますね?」「えー…アタシは食べるのが「アルフ?」うぅ…」
「まぁ、強制はしな「ホント?」――アルフ、お前は手伝わせる」「何で!?」

 もう…

「あまりにもザフィーラが不憫すぎる…」「どーいう意味!?」「まぁ、それがお前の“良さ”なんだろうな」
「だから、どー言う意味さ!?」「ええい、噛み付くなっ」「うぅぅぅうううっ」「唸るなっ」

 楽しそうですね――

「リインも御手伝い?」「はいっ」「出来るの?」「アルフさんよりは?」「へぇ――」

 もう…
 そうこう言い争いながらも、アルフの肩に乗る辺り、リインはアルフが好きだよね
 やはり、ザフィーラ繋がりで仲良くなったのかな?

「何だ、仲悪いのかこの二人?」「ふふっ――違いますよ」

 そう言って耳元で小声で喋ってくるのがくすぐったくて…

「なら良いが――」「心配性ですね?」「む――そんな事は無い」

 そうですか?

「心配性ですよ?多分――自分で思っている以上に」「ふむ――」「ほらー、先に行くよ?」

 わ――

「元気だな、アルフは」「それだけが取り得さー」

 いや、それは違うと思うけど…まぁ、元気なのは確か
 ――元気すぎて、またバテないと良いけど…

「あの元気の半分でも貰いたいものだ…」「何を年寄り臭い事を…」「もう25だからな」
「まだ、25です」「……四捨五入すれば30だ」「む……」

 そういわれると、確かに……

「嬢は本当に物好きだな…」「はい?」「いや――何でもない」

 ぁ―――

「良く似合ってる」「ありがとうございます」

 麦藁帽子の上から、頭を軽く撫でられる――トクン、と小さくココロが鳴る
 ふふっ――

「本当に、あの書置きは恭也さんでは…」「違う――呼ぶ気なら、初日から声を掛けてる」

 ですよね…

「しかし、ミッドチルダは過ごし易いな――」「そうですか?」「ああ――野宿するには最高の環境だ」

 いや、野宿って…

「嬢は野宿した事は?」「……まぁ、ありますけど…」「ほう――」

 もう、ずっと昔の事です――まだ、ハラオウンの名を貰う前の、事

「恭也さんは――まぁ、あるんですよね」「ああ、腐るほど?」

 ですよね…ふふっ

「――――ふむ」「…どうかしましたか?」

 人の顔を見て…

「最近気付いたんだが…」「はい?」

 麦藁帽子に隠れた恭也さんが、笑うのが判る――
 微かに映った口元が、緩む

「嬢は、本当に楽しそうに笑うんだな――」「――――」

 えっと

「……ありがとうございます」「なに、それはこっちの台詞だ」

 はい?
 と、また帽子の上に手を置いて――

「こうやって嬢をからかうのが、最近の俺の趣味になりつつある」「ぅ――――」

 もう――

「意地悪ですね、本当に」

 顔を上げる。軽く睨むと

「ああ…まったくだ」

 最近、この人こそ…無防備すぎる。困る
 だって――
 そう言って、この人こそ――本当に、楽しそうに笑うのだ







 と言っても、私が出来るのは皿の準備くらいしかない訳で…はぁ
 しょうがないじゃないですか、お魚なんて捌いた事無いし、ご飯も電子ジャー以外で炊いた事ないですし?
 ――私って、本当サバイバル能力無いなぁ…

「まぁ、嬢くらいの歳ならそれが当たり前なんだがな?」「そうですか?」

 むぅ…先ほど出来ないと聞いて驚いていた人の言葉じゃないですよ?
 木を切った切り株の椅子に座り、皆で釣った魚と炊いたご飯のお昼ご飯
 質素だが――うん、凄く美味しい

「そーそー…だいたい、出来なくったって困らねーだろ」「ああ、本当に便利だからねぇ最近は」

 そうだけど――

「でも、ヴィータとシグナムがお魚捌けるって、知らなかったよ…」「ま、それなりに――」

 魚の背骨を箸で摘んで

「コイツと付き合い長いからな」

 恭也さんに投げる、それを器用に箸で受け取って

「骨を食べないと大きくなれないぞ?」「いいよ、その内幻影魔法で騙すから」

 もう――

「好き嫌いは駄目だよ?」「そんなんじゃねー…」「そうだぞ、ヴィータ」

 そう言うシグナムは骨まで食べてる――と言うか、本当皮しか残って無いし…
 綺麗に食べるなぁ…
 アルフも同じくらい綺麗に食べて――リインもだ
 流石に骨は残してるけど…

「フェイトさんはお魚食べるの、苦手ですか?」「ぅ――」

 私のはその、あまり綺麗とはいえない…

「リインは上手だね――」「はやてちゃんに仕込まれましたから」「仕込むって――」

 その例えはどうかなぁ…もう

「ほら、嬢。ここの身もまだ食べれるぞ?」「え?あ、はい――」

 へぇ――こんな隅まで身が詰まってるんだ

「フェイトは小食だから、大きな魚一匹丸ごと――ってのは食べないもんね」「そうなのか?」
「う――まぁ、はい」「勿体無いな、丸ごとが美味いんだが…」「お前は食い過ぎだ、シグナム」
「お前もな、ヴィータ」「この前、夕食後のアイス――」「夕食前のタイヤキ…」
「何の勝負をしてるんだ、お前等は…」「まったくだね…」

 ふふっ

「む――嬢、まだ米粒が残っているぞ?」「はい?」

 えっと…

「嬢、米を残すのはいけない――」「は、はぁ…」「箸を使うのは苦手か?」「いえ、そんな事は…まぁ」

 そのまま、御茶碗の淵についてた米粒を残さず食べる
 ――この最後に残ったのって、くっついて余計に食べにくいんですよね……

「お前等はどこの親子だ…」「まったくだ――」「ん?」

 どうしたの、皆?

「まったく――後でシャマルをとっちめるか」「ですねー」「加勢するよ」

 ???

「どうしたんでしょうか?」「さぁな――まぁ、シャマルさんをシめるのには賛成だ」

 はあ……

「嬢、この魚は骨まで食べられるぞ?」「あ、そうなんですか…」

 やはり、世界が違うと魚の種類も違うんですね――
 この川魚は骨まで食べられるんだ…

「さっさと食って戻るぞ?」「そんなに急いでどうしたんだ、ヴィータ嬢?」「知るかっ」「「????」」

 もう…

「早く食べろ、テスタロッサ、恭也」「どうしたんだシグナム、お前まで…」「なに、成り行きと言うヤツだ」

 本当、皆どうしたの?
 そんな事を考えながらも、ゆっくりと皆でお昼ご飯を食べながら――
 ――こんな、自然の中で皆でテーブルを囲むと言うの良いな…と想う

「来年は嬢も来るか?」「忙しくなかったら、ですね」「だな――」「「それは反対だ」」

 なんで?……もう
posted by TRASH BOX at 23:11| Comment(11) | 三次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
夏休みシリーズで糖分摂取量がヤバい具合にw

今回はヴィータが随所でいい味だしてくれてました。二人だけってのもいいけど桃色空間に突っ込みを入れる輩がいても面白いかも。
…ユーノ君が絡む世界観が崩壊しそううで怖いんだけど。

花火、部屋、山ときたら海はもうはずせないって感じのを期待しています。

昨日のコメントが書き込まれてなかった、携帯は不便だ……まぁ、たいしたこと書いてなかったけどさ
『何?この純愛結界は!?もう、攻略可能キャラでいいじゃん』
要約するとこんな感じ、マジでくだらねぇ。

次回も楽しみに待ってます。
Posted by 濁みーん at 2007年08月03日 00:02
そりゃ、こんなバカップルに四六時中あてられたらげんなりしますよね。
>シグナム、ヴィータ

この二人はもう少し自重するように。

まあ、今回は割りとほのぼのでしたが、そのうちまた大量に死者が出るんで…
Posted by surt at 2007年08月03日 00:06
甘い空気にシグナム達胸焼け起こしてますね

リインにも癒されました
Posted by ひより at 2007年08月03日 00:18
お疲れ様です。
山でしたか…

今回は余計なのが何人かいましたので、
二人でお出かけした時が楽しみです。

中てられた数名はご愁傷様。
きっと純度の高い砂糖が精製できたことでしょう(南無

次は何でしょうね?
夏と言うと…
海、山、花火、浴衣、温泉…台風?

次回作も期待しております。
Posted by 神楽朱雨 at 2007年08月03日 00:25
この頃暗躍しつつある緑、二連休編への布石でしょうか。
そしていつもと変わらぬ二人。や、本人達はいつもどうりでも回りには拷問…
だんだんと感覚がずれてきているようで。
Posted by 冬姫 at 2007年08月03日 01:08
恭×フェイはすばらしいですね。
さすがは恭也・・・サバイバルのプロだ。将来フェイトと恭也の二人きりのキャンプがあれば甘々な感じになるのかな?
Posted by にゃんが〜 at 2007年08月03日 03:08
今回は少々物語の前後がわかりづらいなぁという感じがしました。
・・・・・・・・・・・・・とまぁ、賞賛だけではなくちょっと批判っぽい感想も織り交ぜつつw
今回も恭×フェイご馳走様でした。

>「いた―――」「ぅぁ……」
きっとフェイト嬢は世界で一番と言っていいほどの幸せそうな笑顔をしてたんでしょうねぇ・・・・・ちくしょう、この無自覚バカップルめ〜(涙

なにやら徐々に緑が暗躍し始めてますがその本位は一体何ナノやら・・・・・・・・・・まぁ、100%好意って事はないでしょうねぇ(ヒドッ
Posted by J at 2007年08月03日 04:46
…未だにシャマルさんの目的が解らない。
普通は主であるはやてのアシストをする筈なのに…
もしかして、はやても『フェイト→恭也』推奨派?
そう言えば、幾つか前の話にそんな事があった様な…
…さておき
『一人の男を巡って恋愛バトルを発生させる』ってゲームはありましたっけ?
まぁ、無くても良いですが、この手のゲームは『一人の男=プレーヤー』ですけど、逆のゲームは無いような…
まぁ、あっても『女性(腐女子を含む)向き』でしょうがね。
Posted by 月 at 2007年08月03日 06:35
今回はフェイトの帽子の上に乗るリインの絵を創造して一番和んだり。

しかし、シグナムすら二人の雰囲気にはあてられますか。
これでくっついた日にはいったいどれだけの致死性を秘めるのやら。
Posted by アティ at 2007年08月03日 07:15
今回は割とのんびりほのぼの成分高めでしたね。
…がしかぁし! 随所に散りばめられた甘さは隠しようもないっ!!

そういえば、最近はあんまり周りに人が居なくて二人っきりだったことが多かったですね。で、その間に無自覚で二人の世界を作り上げるようになった、と…ww
さて、今回裏で糸を引いていたのは本当に緑なのか。どうにも黒幕は緑の髪をした元妖精の御方のような気がしてならない……。

なにやら休みがなくて大変そうですが、のんびりお待ちしておりますので、次回も頑張ってください。では(礼
Posted by 三上刻夜 at 2007年08月03日 13:57
まだ若いのに糖尿病になりそうです。
フェイト嬢は数年後にはビリ漁(電気で魚を感電させる漁)を覚えてるに違いない。バルディシュ涙目
Posted by 銭形 at 2007年08月03日 23:28
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