「アンケートにご協力お願いしマース!」
「ん?」
神様アンケート(オリジナル。ノット三次)
〜題名と本文の内容には殆ど関係がありません。頭空っぽのほうがホニャラララ〜
さてと。これから何処に行こうか、先ずは本屋か?などと考えながら歩いていると、ふと声が聞こえてきた。なんとなーく聞こえてきた声の方向に目を向ける。殆ど反射の域だな。
「アンケートにご協力お願いしマース!」
そこには、俺と同じくらいの年の頃の女の子がいた。また同じ声で、同じ台詞を繰り返している。
耳につけたヘッドホンからは今も音楽が流れている(結構な音量に設定している)。にもかかわらず、不思議とこの声ははっきりと耳に届く。不思議な事なのだが、その時は特にそんな事思わなかった。
「アンケートにご協力お願いしマース!」
「……」
彼女が三度呼び掛けをする。だが、通り過ぎ行く人々はそんなものに興味はないとばかりに視線すら向けずに通り過ぎてゆく。
俺は、その様子を何とはなしに足を止めて見ていた。普段の俺なら他の人のように、もしくはチラッと横目で見て通り過ぎるだけなのだがどうせ何か目的があってきたわけではないし。あ、暇つぶしが目的だからどちらにせよありか?ありだな。
あ、また呼び掛けしてる。
「アンケートにご協力お願いしマース!……あ」
「……あ?」
視線が合った。この場合は合ってしまったか?
彼女はこちらをじーっと見て……見て……見て……いや、何でそんなにこっちを見てるのかねぇ?ここまで見られるとなんとなくこっちからも視線を逸らしにくいし、どーしたもんか。軽く途方にくれてみる。勿論事態は一向に進まない。まぁ、ただ見詰め合ってるだけだし。それで地震とか天変地異なんか起きるはずもなしだ。
そーいや彼女の言ってるのって、どんなアンケートなんだろ?すこーしばかり興味あるかもしれん。
「…………よし!」
「……よし?」
俺がちょっと考え事をしている間に向こうは覚悟を決めたらしい。両手をギュって握ってよしやるぞ!てきな声上げてたしたぶん間違いない。つーか何がよしなんだ?それ以前に何の覚悟を固めたんだアンタ。いや、こっちの憶測だけどさ。
俺がそんなことを思っている間に何を思ったのか、彼女はこちらに近づいてきた。なんかトテトテって擬音がぴったりの小走りで。だが、人ごみのせいで中々前に進めないみたいだ。あ、人にぶつかった。こけた。うわ、べシャン!って、ここまで音聞こえてきたよ。……涙目?お、起きあがった。また小走りで近づいてきた。また人にぶつかった。こけた。
……さて、ここにたどり着くまでに何回ループすっかなぁ? 十回越えるかも。それはそれですごいな。尊敬はしたいないけど。
「ア、アンケートにご協力お願いしマース!」
「……」
結果から言うと五回。ただ途中から周りの人が避けたからホントは、もっと多かったんだろうな。リアルモーゼの十戒とか始めてみたよ。見たいとか思ってなかったけど。
んで今、俺の目の前にたどり着くなり深呼吸をして次に放ったのが今の台詞。今も目の前で、先程までと全く同じ台詞を繰り返してくる。しかも笑顔でだ。だがこけたのが効いてるのか少し台詞、どもったがね。……さて、少し困った。
「アンケート……?」
「はい。アンケートにご協力お願いします!」
「……ふぅむ」
さてと、どうしたもんかね。取り合えず耳からヘッドホンを外しながら質問……というよりも確認をする。するとこちらの意図とは少しずれた答えが返ってきた。何のアンケートかを訊きたかったんだけど……アンケートねぇ、まぁ暇だし協力してもいいんだけど。
「あの、アンケート、お願いします」
「……やりますよ」
やりますからそんな不安そうな目でこっちを見ないでください。周りの視線が少し痛いです。畜生、周りのヤツラ、皆さっきまで無視していたくせにこういう時だけ興味心身ってか?アンタもさっきまで満面の笑顔だったじゃないか。俺の表情軽く引きつってます。
あーあ、いいんだけども何も、さっきので協力以外選択肢潰されたよ。誰だ。男は女の涙に勝てないなんて法則を作ったのは。
まぁ、大体そんな感じでアンケート用紙(クリップボード、ボールペン付き)を握っている俺。固まってても意味ないし取り合えず始めようとアンケート用紙に視線を送る。
「えぇと……意識調査アンケート?」
「はい。5分くらいでぱっぱと終わると……思いますか?」
「いや俺に聞かれても知らんよ。質問ってどのくらいあるの?」
「……さぁ?多分、50問くらいかと」
「……そう。じゃ、チャッチャとやっちまうか」
なんで疑問系?とかはあえて尋ねない。だって満足に答え返ってこなさそうだし。まぁバイトとかなら内容知らなくても、そんなにおかしくは無い。……無いよな?無いという事にしておこう。そんなこんなで、頑張ってくださいとか言う声を尻目に俺はアンケートを始めた。
さて、第一問はっと。ナニナニ……
問一『貴方は神様がいると思いますか?』
1いる。私たちを暖かく見守ってくれている。
2いない。所詮は空想の産物である。
3いるが、ただ見守っているだけで何もしない役立たず。
「…………なにこれ」
思わず声を上げてしまう。ついでに視線も上がっていたので、自然と彼女に問いかける形となった。その彼女は聞かれて首傾げてるけど。
「はい?どうかしましたか?」
「いや、このアンケートって何?」
もしかして怪しげな宗教団体の勧誘か何かですか?そういえばこの子自体も少し変だし。……もしかして、厄介なのに掴まったのか?
「えっと、ごめんなさい。私はアンケートの内容についてはあんまり知らなくて」
「あ、そうなんだ」
よかった。彼女はまだまともな方らしい。やっぱりバイトか?そうだよな、ちょっとドジなだけだもんな。安心安心。……そうか?
「はい。神様に関することとしか知りません」
「ダウトだろそれ」
そんな風に考えていた俺を裏切るようにあっけらかんと言い放つ彼女。ダウト発言を聞いてはいーー!?なにがなんでですかーー!?なんて素っ頓狂な雄たけびあげてるが知った事っちゃない無視だ無視。くそ、渡る世間は鬼ばかりか!
でもまぁアンケートはやると言ってしまったので最後まで続ける。だてに言った事は破らないを座右の銘にはしていないからな。コイツは知らんだろうが。取り合えず今のは……3だな。よし次。
問二『神様はどんな人だと思いますか?』
1ダンディーな髭の紳士
2マリアのような聖女
3禿の窓際族
3だけなんか違うよなこれ。神様に恨みある奴が作ってんのかなぁ?面白そうだし3にしとこ。
まぁその後もこんな感じのアンケートを埋めていった訳だ。んで次がラストっと。
五十問目『神様が居た方がいいと思いますか?』
1居た方がもなにも、この世界を作ったのは神である。
2いらない。この世は人間のものだ。
3その他 余白にご自由にどうぞ
フム、正直どうでもいいが。……よし、3を選んでっと。
(どうでもいい。居たけりゃ居れば?そのほうが楽しそうだ。)
これでいいか。
「し。終わりっと」
「早いですね」
「そうか?」
「はい。質問文とかちゃんと読みましたか?」
「当たり前だろ?読んだよ」
何気に失礼な奴だ。時計を見てみると、始めてから十分位たっていた。……確かに五十問あったから、少し早いほうかもしれない。でも似たような質問多かったし、これくらいが普通だよなぁ。中には訳分からんのもあったが。なんだ
問三六『神様の主食はなんでしょう?』
1神様はご飯など食べない
2人間と一緒
3ぺティドリームチャーム&モンパチ
って。これホントにアンケートか?
「じゃ、これ。ちゃんと全部埋まってるから」
「はい。お疲れ様でした」
確かに笑いを堪えるのに苦労したが。まぁそれはいいか。
「そっちもね。んじゃ残りも頑張って」
「はい!ご協力、ありがとうございました!」
最初のプランどおり本屋でも行って立ち読みしよ。彼女の、また上げ始めた掛け声を背に聞きながら、俺はその場から離れた。
ちなみに三時間後。一通り店を回り時間を潰してきた俺が帰ろうかと駅に戻ってきたところ、彼女はまだ声を上げていた。熱心な事で。よく声が枯れないねぇ。
「アンケートにご協力お願いしマース!……あ」
「……あ」
……なーんて思いながら歩き見していたら、また目が合った。しかもまたこっちにくるし。あのトテトテって擬音がぴったりの小走りで。なんでよ?なんて、軽く呆然としてる俺。
ついでに、今回は人が減っていたので彼女のこける回数は四回ですみ、十戒は起きなかった。ちと残念。って、なんか違う。
「アンケートにご協力お願いしマース!」
「……もう、してるけど?」
今目の前で行われている事には既視感を感じる。いや、昼の再現だけどね?……ってヤバ、だとしたらまた!
「あの、アンケート、お願いします。……駄目ですか?」
「……遅かったか」
顔に手をやり、空を仰ぎ見る。人間、泣く子には勝てない。昔の人は言いましたってか。でも、俺もう一回アンケートやってるんだけど。それについて訊いてみたところ
「一人一回とは言われてませんし……。それに、あとアンケート二組で終わりなんです!全部終わらせるとお給料アップなんです!御願いします!」
との回答を戴いた。そらそんなこといちいち言わんだろ。つか、これ出来高制だったのな。
……んー?なら。と、彼女を指差しながら一言。
「アンタは?」
「はい?なんですか?」
「いや、アンタはやってないの?それともやるなとか言われた?仕方ないから一組はやってやるけど、もう一組は……なぁ?」
暫くの間。彼女は二分ほど頭に手を当てて考え込んでいた。ちなみにその間微動だにせず。だが、ふいに手をポンっと叩いて動き出した。
「……おぉ、そういえば、言われてませんね。……よし!私やります!そしてバイト終了です!」
「がんばれー」
適当に応援しつつ俺は2回目のアンケートに取り掛かる。今回は質問を見ていない。回答もな。適当に番号選んでいくだけだ。一回真面目にやってるし、別に構わないよな?……構わないという事にしておこう。
当たり前というかなんというか、内容は一回目のものと全く一緒だった。まぁざっと流しちまったから本当に全て同じかなんて訊かれたら、自信持って答えられないけど。別にそんなの気にしない。だって聞いてくる奴なんざいないし。……いないよな?
ちなみに、俺は二回目は二分かからずに終わったわけだが、隣では未だにあの少女がアンケートを続行中だ。……なんで唸り声が聞こえてくるんだろう?少し怖い。
「神様……神様は人の心にいるとすると現実にはいない……でもでも人の心にはいるという事は抽象的存在としてこの世に存在している……でもでもということはやっぱり概念でしか無くて物質としてこの世の中にはいない?これは抽象的なものなのか具体的なものなのか。うぅぅぅぅぅ…………頭痛くなってきた〜〜」
「アンタまだ一問目かよ!」
聞こえてきた声(あくまで聞こえてきただけであって、聞き耳を立てていたわけではない)に思わず突っ込む。恐ろしく哲学?(俺よく知らん)めいた問答繰り返してるし。あ、頭から湯気が……。いや、でてないけどさ。今にもでてきそうな気配がプンプンと漂ってるよ。目も回ってるようだし。すげえなこの子。って違う。変な風に感心してる場合じゃないだろ。うん、この子俺より絶対年下。それ以外有り得ないし認めない。つか、こんな同い年がいて堪るか!
ああもう!俺は少し混乱している頭を落ち着かせるためにガシガシと掻き毟りながらアドバイスを送る。……うん。たぶん、アドバイス。
「こんなアンケートなんてのは、割と直感でやっちまうのがいいんだよ。ほら、よくいうだろ『考えるな。感じろ』ってさ」
「でもでもそれだとこのアンケートを作った人に申し訳が立たないというかなんというか何事も全力を尽くす事がそれ即ち人生とも言いますし」
「うん。そんな言葉聞いた事無い。まぁ確かにアンケート作った奴には申し訳ないとは思うけどさ、このままだとアンタ、一時間たってもこれ、終わりそうに無いんだよな。……トロいし」
「う!まさに私が密かにそうなんじゃないかなぁって思ってたことをグッサリと!」
「あ、ご免。思わず本音がポロリと」
酷いーーー!!なんて声が聞こえてくるが華麗に無視。コイツ肺活量すごいなぁとか密かに感心しつつどうやって説得しようかとか顎に手をやりつつ考える。ふぅむ…………思いつかないもんだなぁ。どうしよ。なんて未だに呻き声をあげつつ涙目で睨んでくる少女を公然と無視し続けて考えに没頭する。なんていうか、彼女の涙目、慣れた。三度目だし。
んで。一分程、俺の頭から案が出てくるまでそんな周りから見たら異様極まる光景が展開された。実際に何だコイツラって目で何人かがこっち見てったから間違いない。
「ああ、そうだ。なぁ少女よ、こうしたら?」
「……うぅぅぅぅぅ。なんですか?ていうか何で少女?」
「だって名前知らないし。ほら、これ神様に関するアンケートなんだし、神頼みで決めたら?」
「神頼み……ですか」
「そう、ほら、サイコロとかでもいいし、指さしでどちらにしようかなって決めてもいいし」
「……」
彼女は俯いて考えている。正直、これに決めてもらいたい。早くしろよもう時刻は六時過ぎになろうとしているから夕飯が近いんだよ家は。おっといかん。腹が空くとイライラしやすくなるな。
そんなこっちの内心を知ってか知らずか。少ししてから彼女は顔を上げ、俺に言い放った。
「分かりました!そうします!」
「そう、それはよかった。じゃ、ぱっぱと」
「それでですね」
片付けよう。と続ける前に彼女に遮られる。なんだろ?
「うん?なに?」
「神頼みの方法、なんにしましょう?」
「んなもん自分で決めてくれ」
ええーー!!なんて聞こえてくる声は悉く無視……といきたいところだが、そうもいかないのでかなり投げやり的に
「あー、消しゴムに番号でも振れば?」
なんて返しておく。隣からは返答の声が聞こえない。何してんだろ?って思って、ちらりと横目で見て、割と脱力した。三割位。
……三十秒後、隣では少女がサイコロ消しゴムを振っていた。……うん。まぁいいか。
「終わりましたー!」
「あー、うん。よかったね」
それから十五分程で少女はアンケートを埋め終えた。ああなんかもう疲れたなぁ。なんでだろ?いや、原因分かってるけどさ。
「はい!いろいろと御協力、有難う御座いました!」
「いやいや、そっちこそお疲れ様。それじゃあね」
これでやっと帰れる。なんて思うと、今までの苦労も不思議と気に為らなくなってくるから不思議だ。そうだ、この少女だってバイトで大変だったんだよな。その手助けをしたんだし、別に悪くない休日だったか。
なんて考えは、次に放った少女の言葉によって掻き消えるわけだが。
「はい!では次も御協力お願いしますね!」
「それはご免被る」
そんなーー!!なんて言ってくる後ろの少女は全力で無視して家路につくことにする。つうかなんだ次って。またあんなのがあるとでもいうのか。……嫌だなぁ。……本当に嫌だなぁ。
家に帰ったら案の定夕飯ができかけていた。まさにグッドタイミング。だもんで飯を食って、次に風呂に入る。いつもならその後居間でゴロゴロするのだが、別に見たい番組が無かったし、疲れていたので(主に精神的)今日は早めに就寝する事にする。
あれ?別に彼女がアンケート終わるまで俺が待ってる必要、無かったんじゃなかろうか?……いや、ろうかもなにも、確実になかったな。はぁ、今更気づくなんて俺も間抜けだなぁ。…………いいや、明日は学校だし、さっさと寝よ。
「お休みなさい」
目を閉じた。意識が無くなっていく。
オヤスミナサイ と 何処からか聞こえてきた気がした。というかした。確実に聞こえた。だけど眠いので無視。睡眠は大切なのです。
翌朝、目が覚めたら布団の中に馬鹿がいた。ちなみにこの馬鹿、俺の妹だったりする。そうか、昨日の声は貴様か。取り合えず布団から(文字通り)叩き出した。これが日課だっていうんだから嫌な世の中になったもんだ。
取り合えず、こうして俺の次の一日が始まった。何時もと変わりなんざありゃしない。
…………多分。なんか嫌な予感するなぁ。
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案外悩むような…ネタにするか真面目に答えるかで。途中で馬鹿らしくなりそうなものっぽいですが。
……神様、ネコ缶?
と思ったらオリジナルでしたか
続き楽しみにしてます
とりあえず続きがどうなるのか楽しみです。
アーカイブ辿って、入れなくなってる三次創作まとめサイト先にあった掲示板のurl発掘してきました。
「大岩咲美」氏が投稿所に関してなんらアクションを起こしてくれないし、他の人とも連絡取れてない状況が続くよりかはマシかと思って貼り付けてます。
というか、「鏡の世界の迷子の旅路」とか作品が読めなくて困ってるので「小閑者」さんとか連絡欲しいですおすし。
無断転載となりますが、「小閑者」さまの「鏡の世界の迷子の旅路」も投稿しております。