2007年08月03日

家族に成ろうっ ヴィータ編 by kagura

 アタシは…この白くて甘いものが大好きだ―――だから

「んだよ」「―――いや、別に?」

 さっきからこっちジロジロ見やがって…ったく

「そんなに甘いの、好きか?」「――テメェにゃ、カンケーねぇだろ?」「そうだな」

 ―――ったく
 ソファに預けていた背を浮かせ、テーブルの上のアイスに向き直る
 冷たくて美味しい、あたしの大好物の一つ――

「やらねーからな?」「要らん。甘いのは苦手だ」

 ふぅん…勿体無いな
 テーブルの上に一つだけ置かれた白いアイスをスプーンで一掬い――うぅ、冷てぇ
 少しだけ甘くて、凄く凄く冷たいコレを食べる…この最初の一口が、サイコーに――

「美味いのに――」「やはり好きなんだな、甘いの」「―――ぅ」

 良いだろ、別に

「暑いのが嫌いなだけだよ」「魔法の属性は炎なのにな」「うるせ――絶対やらねーからな?」
「要らんよ…甘いのは好きじゃない」「人生の半分は損してるな…」「そこまで無いだろ」

 そうか?
 リビングの床に仰向けに転がって、ゆったりと本を読んでいる真っ黒黒助を見る
 テーブルを挟んで反対側なので、嫌でも目に入ってしまうのが…そう、精神的に
 この冷たくて美味しい大好きなアイスとは逆の、真っ黒黒助
 ―――暑そうだな
 と言うか、見てるだけで暑くなってくるっての……まったく

「暑くね?」「そうでもないが――嬢は暑いのか?」「――そーでもねぇけど」

 気付け。お前の所為で暑いんだ……はぁ
 コイツ、偶に凄い鈍いよな…いつもは結構そんな事無いんだけどなー
 そして、今度はうつ伏せになり

「ああー…最近本当に暑くなったなぁ」「夏だしな」

 あと、黒尽くめだからな。自業自得だ、アホ

「何でお前は何時も黒ずくめなんだよ?暑いだろ?」「――慣れた」

 なら暑いとか言うな
 はぁ――ああ、アイスに癒される…

「―――ふむ」「んだよ?」「なに――嬢もオンナノコらしい所があったんだな」

 どー言う意味だ、コラ
 ムクリと起き上がって

「くぅ…フローリングに長時間横になるものではないな」「アホか」「ああ、アホだ」

 開き直るのか、ソコは

「麦茶を貰うぞ?」「ああ、冷蔵庫に冷たいのが入ってる」「うむ――嬢はジュースか?」
「牛乳くれ、牛乳」「ん?ああ――少し待ってろ」

 そう言ってリビングを出て行く背中を見送って、アイスをもう一口
 うぅ――冷てぇ、それに甘い……

「爺ちゃん達、倒れて無いと良いけどなぁ」「ん?どかしたか?」「いんや、黒助には関係ねー」
「そうか――ほら、ミルクだ」「ん、」

 んぐ……手渡してもらったのをそのまま一口飲む
 はぁ、微妙

「なんだ、牛乳は苦手か?」「あん?」「顔から笑顔が消えたぞ?」

 ん?

「ま、あんま好きじゃねー…味が薄いし」「そうか…まぁ、嗜好は個人の差があるからな」

 と言って、黒助も持ってきていた牛乳を飲む――って

「麦茶飲むんじゃなかったのか?」「何、偶には牛乳も良い――と言うか、別々に注ぐのも面倒だ」
「――暑いからって、だらけてんな…」「そこははやて嬢には内緒の方向で」「ふぅん――別に良いけど」

 確かに、はやてに見付かったらどやされるだろうな…
 今日はアタシ以外居ない八神家に、何故か珍しく黒助が遊びに来ていた
 最近はミッドに引っ越して、もう結構疎遠になってたと思ったが…どういった気の変化か
 まぁ、コイツがこの家に居てくれるってのは――
 そのまま、テーブル向かいに座って

「嬢も、アイスばかり食べてると怒られるぞ?」「大きな御世話だ。一日一個は御許しが出てんだ」
「そうなのか――だが、寝る前には食べるなよ?腹を壊すぞ」「うっせ」

 お前はアタシの――――はぁ

「聞き分けの無い子供だな」「誰が子供だ、誰が…」「見た目?」「潰すぞ?」「むぅ……」

 まぁ、事実なんだけどな
 別にその事が嫌な訳でも、困っている訳でも無い
 この姿は好きだし、今のところ困った事も起きてない
 ―――偶に、この馬鹿に必要以上に子供扱いされるのが今最も困る事か…

「コレでもお前より十数倍くらいは生きてるよ」「だろうが、なぁ」

 んだよ

「見た目は子供だし、な」「喧嘩売ってるか?」「まさか、心外な」「ふん――」

 信用なるかよ――ああ、アイスが美味い……

「嬢は甘いのと冷たいの、どっちが好きだ?」「ん?」

 また、いきなり突拍子も無いな…

「甘いの――冷たいのは嫌いじゃないけどな」「そか…」

 ふん……

「黒助は甘いのが苦手なら、冷たいのが好きなのか?」「どっちも苦手だ」

 ふぅん――

「俺は“普通”が一番良い…」「“良い”じゃなくて、“好き”が問題なんだろ?」

 若干路線変更しかけた話題を、無理矢理元に戻す――世間話とも言えない、無駄話
 本当に、意味が無い――コレは“味”の好き嫌いであって、“自分”の好き嫌いじゃない
 だから、これは“無駄話”…“世間話”にすらなりえない、ただの“言葉の繋がり”
 アタシの物言いに“その辺り”を感じ取ったのだろう、
 コイツは“そう言うのだけ”は敏感だからな―――だから、肩を竦めて

「“好き”なのは―――そうだな」

 そこで、“何か”を思い出すように目を瞑り――

「洋菓子と和菓子が好きだな」

 はい?

「どっちも甘いじゃねーか」

 何言ってんだか…この

「アイスも苦手なんだろ?」「ああ、苦手だ――“アイスは苦手だが、甘いのは嫌いじゃない”」

 むぅ……

「くくく――簡単な事だ」「いや、ほんと意味判んねーんだけど」「そう、むくれるな」

 お前が相変わらず、意味不明な言い回しするからだろうが…ったく

「その内判るかもな?」「なんだ、教えてくれねーのか?」「それじゃ詰らん」

 いや、そんな事か?
 アタシが困るんだけど?

「――――忘れてくれると、俺は助かるがな」「今度は忘れろ、か」

 まったく、本当に自分勝手なヤツだな…

「どうしたんだ?今日は何時にも増して支離滅裂だな」「――そうだな」

 だから、何でそこで否定しないんだよ…変なヤツだな

「なんか変なの拾って食ったか?」「子供か、俺は」「アタシから見ればそんな歳だ」

 む――と静かに鳴いて

「まぁ、こんな悩みは嬢たちにとっては些細な事なんだろうな――」

 ―――――悩み?

「なんだ、何か悩んでるのか?」「と言うか、この前のヤブの所為だ」

 ヤブ?
 ああ

「シャマルか?」「この前部屋に来てな――今度は無断で来るなと言っておいてくれ」

 またアイツ、何かやったのか…ったく、何で尻拭いはアタシだよ……

「自分で言っとけ――アタシは伝言板じゃねーっての」

 ったく

「今日はその事か?」「ああ、冷蔵庫に礼を入れておいた」

 いや、主語無いからな?

「何の餞別だ、何の…」「この前来たヤブに晩飯を馳走になった礼だ」

 ???

「何だ、シャマルに何かされたのかって思ってたけど…飯作ってもらってたのか?」「ああ」

 そして忌々しそうに

「紅かった……」「そ、そうか…」

 何が、とは聞かない。コイツがここまで嫌な顔をするんだ“何か”が相当紅かったんだろう…うん
 そう言うことにしておこう――多分聞かないほうがイイコトだ

「何買ってきたんだ?」「野菜が紅かったんだよ…」「聞きたく無いのに言うなよ!?」
「キャベツが、な」「だからっ!?」「だが美味かったんだ…」「美味かったのか……」

 そ、そうか……

「その、良かった…な?」「ああ…まぁ、な」

 ったく――折角の美味いアイスが台無しだ…はぁ
 少し溶けたアイスをスプーンで掬い、手首の力だけで

「――と、こら、食べ物を粗末にするな」「お前は変な事を言うな」

 黒助の顔目掛けて弾く
 だがそれは案の定、目標に届く前に左の掌に防がれる

「甘い…」「甘いのは苦手か?」「ああ、苦手だ」

 掌を舐めながら、そう呟く

「洋菓子は嫌いか?」「嫌いじゃないな、洋菓子は」

 どう違うってんだ、はぁ

「どうした、悩み事か?」「判ってて聞いてるだろ?」「ああ」

 いけしゃあしゃあと――
 残っていたアイスを一気に頬張り

「つぅ――」「一気に食うからだろ…」

 キィンときた、キィンと…つぅ
 これも、慣れると結構クセになるんだよなぁ…

「片付けといてくれ、出掛けてくる」「俺はお前の召使か?」「違うのか?」「違うわ」

 そっか
 アイスの入れ物をゴミ箱に投げ入れ

「まぁ、冗談だけどな?」「どこに出掛けるんだ?」「ん?」

 うあ――暑そうだな、外は
 太陽は照ってるし、風も無さそうだし…

「近所の公園、様子見にな?」「様子?――なんか居るのか?」「……多分そんな所だよ」

 爺ちゃん達ももう良い歳だしなぁ
 まぁ、今日はこんな炎天下だし――居ないとは思うけどな?

「黒助も来るか?」「ああ」「……あれ?」

 来るのか?

「自分で聞いておいて、本気で不思議そうにするな…」「いや、外暑いぞ?」
「残ってもすること無いしな」「ふぅん――」

 ま、良いか

「一回の戸締り頼むな、二階をしてくる」「うむ、了解」

 変なところで偉そうだよな、お前……
 本当、コイツが居てくれると――退屈しないな
 …退屈もしないが、ゆっくりも出来ないけどな……







「やっぱ、居ないか――」

 良かった

「なんだ、公園で待ち合わせでもしてたのか?」「ん?違う違う、」

 えっと

「近所の爺ちゃん達が良く、ここでゲートボールしてるんだよ」「??それに混ざりに来たのか?」
「違うって――暑いから、様子見に来たんだよ」「ああ――なるほど」

 そして納得したのか

「流石にこの炎天下じゃ、ご老体にゲートボールは辛いだろう…」「ああ」

 良かった――

「良かったな」「ああ――だからって、何で」

 頭を撫でる?まったく…アタシは子供じゃないっての
 頭に置かれた手を強引に払い除け

「暑苦しいヤツだな…」「ふむ――気をつけよう」「そうしろ、オオバカヤロウ」「むぅ……」

 はぁ…

「座って涼もう…あっちーや」「だな…しかし、今年の夏は本当に暑いな」「やっぱそうなのか?」
「ああ――年々暑くなるな、地球…」「大丈夫なのかよ…」「さぁな、そんなのは偉い人が考える事だ」

 何て事を言うかね、この男は…

「もう少し地球に優しくしてやれよ」「地球には優しいが、俺一人でどうこう出来る問題でも無いしな」

 まぁ、そーだろうけどな

「地球の温暖化なんて、俺の手には余りすぎる問題だ」「そんなもんかね」「そんなもんだ、っと」

 そんな事を言いながら並んで木陰のベンチに座る
 大きな古樹が作ってくれた木陰の下にあるベンチ――並んで座って

「久し振りに家に来たけど、相変わらず見たいだな」「そう簡単には変わらんよ――嬢達も」「だな」

 本当に、そう思う
 コイツがミッドに移住して――えっと…

「半年くらいか?」「それくらいだなぁ――」

 まだそれくらいしか経ってないのか…不思議なもんだな

「もう結構…まぁ、事件の後はアースラに住み込みだったしな」「だなぁ――」

 そうすると…

「懐かしいもんだな、まだ2年なのに――」「もう2年、だ」「そうだな」

 そう――もう、2年だ
 あの…アタシ達が“始ってから”もう……2年だ
 忘れない、一生。この身の“時間”が終わるまで、絶対忘れない“時間”
 アタシ達“八神家”の中に“高町恭也が居た時間”
 多分…“八神恭也”が“居てくれた時間”
 今も尚色褪せない―――本当に“苦しくて楽しかった時間”
 今はもう、楽しいだけの場所だけど――

「もう、お前は自分からは家に――八神の家に来ないんだろうな、って思ってた」「そうか」

 ああ――だって、お前はまだ……諦め切れてないから。
 “元の場所に戻る事”を諦めてないから――だから、八神に自分からは近付かないと思ってた
 言葉にはしないが――コイツは“そう言うヤツ”だ
 “仮初”と“本物”なら、間違いなく“本物”を選ぶようなヤツだから――

「シャマルのお陰だな…」「だが、出来れば作ってくれるならマトモな物を食べさせてほしいんだが…」

 贅沢なヤツだな――うぅ、腹痛ぇ…くくっ

「そう笑うな――まったく、ニャロウ、誰が誰の恋人だっての…」「は――何の事だ?」
「大家にな、合鍵を借りる時にそう言ってたんだよ…まったく」「そいつは良いな――」「良くないわ」

 そうか?

「どうせ彼女の一人も居ないんだろ?」「――関係無いだろ」

 本当に居ないのか…

「寂しいヤツだな…」「そんな目で見るなよぅ…」

 しかも気にしてるのか…難儀なヤツだな――まったく

「“こっちの”には恋人が居るのにな」「不思議だよなぁ…」「おいおいおいっ」

 何処を見てる、何処を!?
 何か死んだ魚の目だぞ、それ!?

「シャマルなら結構美人だし、悪い話じゃないだろ?」「俺は彼女をそう言う眼で見れない…」
「だろうなぁ…」「シグナムもだからな?」「ちっ…」「嬢もアウトだぞ?」「当たり前だ」

 アタシもお前を“そう言う風には”見ないっての…はぁ

「結局は、な」「だなぁ」

 言葉にはしない。する必要も無いし、多分――したら、駄目なんだって思う
 だから思う――ただ、想う。
 アタシ達とコイツは…もう“他人”じゃないんだって――想う。
 “親しい人”でも“似た物同士”でも違う…そんな関係なら“間違い”だ
 溜息を一つして、もう一人の馬鹿を見る

「どうした?」「いや――馬鹿みたいだな、ってな」「う――そんな事は無いだろ?」
「いいや、馬鹿だな。大馬鹿だ」「馬鹿馬鹿言うな、泣ける」「泣け」「……流石にそれは…」

 まったく――

「本当“同じ”だな」「―――?何がだ?」「全部、だ」

 そう――多分、全部同じ
 この世界への“在り方”も、存在の“意味”も――馬鹿な所も
 古い騎士と古い刃、居場所も無くて――
 アタシ達とお前は“同じ”なんだろうな

「ふむ…良く判らんが、良かったな?」「良く判らないのにそう言うのか?」「ああ」
「――お前にとっては、あんまり良い事じゃないかもよ?」「構わんさ――」

 ふぅん……?

「嬢が嬉しい事なら――まぁ、俺が多少不幸になっても何とか我慢しよう」「なんだそりゃ?」

 本当に…馬鹿な男だな、黒助
 馬鹿で優しくて、優しくなくて――本当は、お人好しな大馬鹿
 損得の勘定が出来るのに…根本でその計算を無視する馬鹿
 だからこそ――アタシ達は、コイツを“気に入ってる”んだろう―――
 ベンチに座って、足を組む――その膝に肘をついて、顎を乗せる

「ほんと、馬鹿だな黒助…」「なに、少し馬鹿なくらいが世の中楽しく生きていけるからな…」

 なるほどな――
 何でそこで偉そうに、そして自慢げに語るかは知らないけどさ…

「ま、でも…」「ん?」「そう言う馬鹿は見ていて楽しいな…」「それは良かった」

 道化を被る“高町恭也”――アタシ達は……アタシはまぁ

「嫌いじゃ、ないな」「それは良かった」

 そう言って本当に楽しそうに笑う“馬鹿”
 少しだけ、間違ってたんだと判った
 コイツは“道化”じゃない。“道化”の仮面を被ったただの“馬鹿”だ……と言うこと
 嫌いじゃない――うん、こういう“馬鹿”は嫌いじゃない
 だって…こういう人種は本当の意味で“嘘”を吐けないから…だから、嫌いじゃない

「嫌いじゃない、か――ああ」

 なるほど

「黒助の実家って、洋菓子店だったよな?」「ん?ああ――『翠屋』って喫茶店だが…」

 そう言う事か――だから「洋菓子と和菓子」は“嫌いじゃない”のか
 “甘い物”は苦手で“アイス”は嫌いじゃない
 なんと言う、判り辛い言葉遊び……まったく

「判り辛いなー…ったく」「どうかしたか?」「別に」

 それは、本当の意味で“未練”があると言う事
 この馬鹿は「喫茶店の息子だから洋菓子が嫌いじゃない」
 多分和菓子は好きなんだろう
 でも甘い物は“苦手”
 それはただ“嫌い”と言うこと……
 なんて判り辛いヤツだ…困ったヤツだ、はぁ

「何故そんな呆れた眼で俺を見る?」「自業自得だ、馬鹿」「むぅ――」

 夏の日差しを見ながら、多分アタシは笑っている
 ――こんな判り辛いヤツと“判り合いたい”と思う自分が馬鹿らしい

「帰るか?」「だな、暑い――」「年寄りか、お前は…」「精神年齢はもう良い歳だ」「そか」

 はぁ――本当、アタシもコイツも馬鹿だなぁ…







 家に帰ると

「あ、お帰りー」「あれ?はやて…」「嬢、帰ってたのか?」

 夕方までアースラに缶詰だと思ってたけど…

「なんや、二人してデートか?」「そんな洒落たのじゃないな?」「だな」
「相変わらず枯れとるなー」「そうか?」「恭也さんは特に?」「くはっ」

 だよなぁ…

「彼女いないし」「ソレ関係無いしっ」「「いや、一番重要だから」」「――――そ、そうか」

 あ、

「いらっしゃい、恭也さん」「げ」「―――ちょっと?」「何故貴様がここに居る、緑っ」「うぅぅ…」
「せめて本名で呼んであげてな、恭也さん…」「シャマルさん、何故ここに?」
「住んでますから、ここにっ」「仕事は?」「もう終わらせてきましたっ」

 ふぅん――暑っちーなぁ
 麦茶麦茶っと
 冷蔵庫を開けて、エモノを――

「あ、ヴィータ。カルピスあるよー?」「カルピス?」

 あれ、家に残ってたっけ?

「恭也さん、お土産買うて来てくれてんよ」「ああ」

 そう言えば、シャマルの晩飯がどうとか――

「気が効くな、黒助」「何、喜んでもらえて幸いだ」「ってきりまた訳の判らん食べ物だと思ってた…」
「失敬な…まぁ、ソレにも心惹かれたが」「――普通が良いんよ、恭也さん?」「それでは詰らん」
「――もう、相変わらず変な恭也さん」「「一番変なのが言うな」」「酷いっ!?」

 聞いたぞ?紅いキャベツって何だ、紅いキャベツって…
 そう言えば、最近良くシャマルが“作戦”“作戦”言ってたな……なるほどな

「ふぅん――」

 はやてと楽しそうに笑いながら話してる“馬鹿”を見ながら、何となくその内容を理解した
 ああ、本当に判りやすい――

「なぁ、シャマル?」「何かしら?」「“作戦”っての、頑張れよ?」「あれ?話したっけ?」

 いや?

「判りやすいっての…ったく」「そ、そうかしら…」

 まぁ、でも――誰もまだ気付いて無いんだろうなぁ
 はやての笑顔を見ながら、そう一人ごちる
 ―――本当、楽しそうで嬉しそう
 はやてにとって黒助は色んな意味で“特別”なんだなぁ――と、理解させられた
 父親も母親も居ない11歳――アタシ達は、ソレには成れない
 “家族”には成れるかもしれないけど、“代わり”には成れるだろうけど――“ソレ”には成れないんだ…
 判ってる――だから、ソレを“高町恭也”求めるのも、判ってる
 だって…アタシ達も、望んでるんだから――だから、理解した
 はやてがあんなに嬉しそうに笑える“作戦”ってのを

「だったら、ヴィータちゃんも手伝ってね?」「面倒臭ぇ…」「そう?楽しいと思うけど…」

 知ってるよ
 今日一日――いや、2年前からそんなの知ってる
 否定するのも馬鹿らしいっての――アイツと居ると楽しい。コレは否定するのも――愚かな事だ
 だから……

「気が向いたらな?」「ありがとう…」「ったく――皆馬鹿だな」「……ふふっ、そうね」

 カルピスを一口飲む
 ――何故、いつもより一層美味く感じるのか
 ――何故、こんなにも気持ちが落ち着くのか
 ――何故、馬鹿みたいの頬が緩むのか
 何故―――

「恭也さん、次はいつが休みなん?」「む――確か、三日後だったな」「そかそか」

 ―――この光景が、こんなにも“優しくて嬉しい”と感じるのか
 不思議なもんだな…と思う
 本当、不思議なもんだ――ただのカルピスと家族の笑顔だけで

「良いもんだな」「そうね」

 ――こんなにも、幸せになれるなんて…本当、不思議なもんだ
 もう一口、カルピスを飲む
 アタシは…この白くて甘いものが大好きだ―――
posted by TRASH BOX at 23:51| Comment(14) | 三次創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
相変わらずすばらしいクオリティです。緑、赤ときたらこの後は紫、と見せかけて元提督を期待しています。いえマジで。

PS.全部長、これ三次でのーて日記カテゴリになっとりますよ?
Posted by sou at 2007年08月04日 00:37
よくよく思うと、題名にしかその単語がないのに家族を感じさせる作品。
ことばあそび、恭フェイや大きな少女でもそうですがこのやり取りが書けるというのがうらやましいです。
Posted by 冬姫 at 2007年08月04日 00:37
相変わらず素晴らしいクオリティです。これからもがんばってください。緑、赤ときて次は紫、と見せかけて元提督を期待してます。

PS.全部長、カテゴリが三次でのーて日記になってますが?
Posted by sou at 2007年08月04日 00:48
ヴィータって見た目と性格に反して気配り上手ですよね

さりげない優しさがいいですね
Posted by ひより at 2007年08月04日 01:03
……すげぇ、癒される。
大きな少女のヴィータさんはエロエロで大好物なんですが、ほのぼの路線もイイですね。
kaguraさんのヴィータは見た目、嗜好に反して誰よりも大人な印象。某少年探偵みたいですね、頭脳は大人、身体は略みたいな感じで。

家族に〜の次は自称狼ですよね。犬も家族の一員ですし。
Posted by 濁みーん at 2007年08月04日 01:11
最初と最後のつながりが上手いなぁと思いましたね。
ちょっとした、いたずらを仕掛ける事で話しの幅を持たせるのには見ていて楽しいです。
では、次作もがんばってください。
Posted by ウェルディ at 2007年08月04日 01:54
ヴィータと恭也のやりとりを見てると相性いいよなぁと思う次第。
相棒、悪友とかそういう関係?
まー、だからこそ大きな少女編で致死毒を頂いたわけですが(苦笑)

ま、シャマル発案のこの作戦。
恭也にとってもある意味では救いとなるのでしょうしねぇ。
色々な意味で「不安定」ですし、恭也。
楔というか鎖というかそんな感じになるのでしょうが。

次々に形作られていくkagura師父の世界の
次の物語を楽しみにさせていただきます。


追記
シャマルやシグナム、ヴィータを恋人としては見れないという行で
もし「じゃあテスタロッサは?」というヴィータの問いがあれば
恭也はどう返したんでしょうね?(笑)
Posted by アティ at 2007年08月04日 01:59
>アタシは…この白くて甘いものが大好きだ
冒頭のがこう繋がるとは・・文章構成力が素晴しいです。雰囲気に思わず引き込まれましたよ。

“現在が100点満点では無いけれどこの上なく幸せ”な感じがして、こころ温まりました。
次も期待してます。
Posted by jin at 2007年08月04日 02:06
某所で氏の創作物に対する評価がされています。
面白いものを読みたい読者としては、作品に対するこういった評価は必要不可欠と思ってます。

食事(良作作り)には、栄養バランス(作品に対する感想と、技術進歩を促す真面目な批評)が大切かと。

自分の視点では気付かないことは沢山あります。

某所の批評が全てではないですが、よくあるように否定されたからといって無視したり開き直るのではなく、真摯に受け止めて新たな作品への糧としてはどうでしょう。
そういった努力が、良作を生み出す作家への第一歩だと思います。



冷水を浴びせたくなった一人の読者より。
Posted by 己が身を省みてみましょう at 2007年08月04日 03:56
あぁ、徐々に騎士達によるはやての為の高町恭也包囲網ができあがっていく。
リンディさ〜ん。娘のためにそろそろ立ち上がるときですよ〜。
んで、本人たちそっちのけで緑とかと張り合って当の三人+ヴィータさんがいちゃつきながらそれを眺めているという感じなのを幻視しました(ウマレ

とまぁ、戯言はここまでにしてやっぱりなんだかんだいっても相性いんですよね恭也とヴィータ嬢って。
そして今回は犠牲者が誰一人としていないと言う奇跡的な展開に(マテ
シャマルの作戦がどう転がっていくのか楽しみにしております。
Posted by J at 2007年08月04日 04:03
おぉう!?
『休日シリーズ』月間中に『家族シリーズ』がくれるとは…
…この数年後(?)に『大きな少女』に繋がると思うと…
何故か複雑な気分になるな…
さておき、次回は何が起きるやら…
Posted by 月 at 2007年08月04日 09:36
まったりと読ませて頂きました。
いやー、ヴィータと恭也の会話は流れと言うか、テンポと言うかがとてもいいですねー。
なんだかんだ言いつつ、全員がそれぞれの考えや見方、立ち位置で「家族に成ろう」としているようで。いいなー。

kagura師父の書く三次は真夏に吹く一陣の風、って感じがする今日この頃。普段は爽やか。時に台風な辺りとか?(ヲイ
また次回も楽しみにしております! では(礼
Posted by 三上刻夜 at 2007年08月04日 20:06
久しぶりの書き込みをさせていただきます。ヴィータの話で珍しく死なずに癒されました。kagura師父さん、ヴィータ分の補充ありがとうございます。それから次の作品がんばってください。追伸文中にミルクという文字を読んだ瞬間全身をミルクまみれになったおっきいヴィータさんを想像した自分は末期でしょうか?
Posted by ゴルシア at 2007年08月04日 20:42
ちなみに自分は紅だったり金だったり紫で甘いものが大好きです。
ええ、吐血するほど。

さておき、これは安全なヴィータ分。
しかし二人とも精神年齢が高い。
Posted by surt at 2007年08月04日 23:20
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